STEVE PEREGRINE TOOK

 本名STEPHEN ROSS PORTER。1949年7月28日生まれ。
「ティラノサウルス・レックスでさくらんぼの種をのどにつまらせて死んだ人」というのが一般のこの人に対する評価である。これは「友人宅(ニック・ターナー宅)で薬をキメながら眠ってしまい、食べていたサクランボをのどにつまらせて窒息死した」という事実からで、そのため「筋金入りのジャンキー」との評価もある。それはティラノサウルス・レックス脱退後は、ドラッグが原因でろくにまとまった音源を発表していないことと、死因が情けないものだから余計に拍車がかかっている。僕が高校生の時は「どうやらポン引きをやっていたらしい」とのデマが流れた。どれもこれも、あまり良い評価ではない。そして彼はほとんど録音を残していないのも事実だ。メンバーを集めても自分がプレイ出来ない程、ドラッグにのめり込んでいたとか。


WATERPROOF SPARROWS (1966)
PETE KEEN (vocal/lead guitar)
RICHARD(WALLY)WOODCOCK (rhythm guitar)
JOHN RAYNES (bass)
STEVE PORTER (drums)
*録音は残されていない。スティーヴは本名。

TYRANNOSAURUS REX (1968-1969) → T Rex discography

My People Were Fair and Had Sky in Their Hair...But Now They're Content to Wear Stars on Their Blows

Propphets,Seers and Sages,the Angels of the Ages

Unicorn

1968 - 1969

Regal Zonophone

*当初はドラマーとしての参加。この頃からトールキンの「指輪物語」の登場人物から名前を取ってスティーヴ・ペレグリン・トゥックと名乗るようになる。彼等はシングル4枚とアルバム3枚を発表


 アメリカ・ツアーに出るが、その時にドラッグに漬かりトラブルを起こし、クビになる。


SHAGRAT
これはバンド名というよりプリティ・シングス、デヴィアンツ、ホークウィンド、ジュニアーズ・アイズ、エドガー・ブロートン・バンド、ティラノサウルス・レックス(つまりスティーヴ)等を中心にしたメンバーの集まりの名前と考えた方が良いようだ。別の名前を Pink Fairies Motorcycle Club And All Star Rock And Roll Band と言った。このカッコイイ名前はトゥインクのソロ(Think Pink)でも見られる。

TWINK / Think Pink (session) → Twink discography
*69年録音。スティーヴはギターとリード・ヴォーカル(2曲)とつの笛で参加。トゥインクとは曲も共作している。

MICK FARREN / Mona (The Carnivorous Circus) (session) → Mick Farren discography
*71年録音。パーカッションで参加。当時スティーヴはティラノサウルス・レックスの所属レーベルだったリーガル・ゾノフォーンとソロ契約をしていたためShagrat the Vagrant という変名で参加した。

Shagrat のサークルから、スティーヴ、デイヴ・ビドウェル(drums/ex-Savoy Brown)、ラリー・ウォリス(guitar)、フィル・リノアー(drums)、ティム・テイラー(bass) 等が中心となったセッションが発掘され、レコードが作られている。それが下記の2枚。7インチと12インチ・シングル。この頃からギターを担当してリード・ヴォーカルもとっている。ラリー、フィル、ティムの3人は、エンタイア・スー・ネイション(Entire Sioux Nation) というバンドで活動していた。

SHAGRAT
Amanda / Peppermint Flickstick(Shagrat ORC001)

STEVE TOOK'S SHAGRAT
Nothing Exceeds Like Excess(Shagrat NET001)

STEVE PEREGRINE TOOK'S SHAGRAT

Lone Star

2000

Captain Trip

*上記シングルを1枚のCDにまとめたもの。

 しかしそれにしてもジャケットに写るメンバーの「いかがわしさ」「危なさ」「怖さ」というのは他のバンドで探すのはちょっと難しい。スティーヴ・トゥックのあの「目」! デイヴ・ビドウェルのあの表情! ラリー・ウォリスが普通に見える。

 この頃はスティーヴとデイヴ・ビドウェル(drums)と高橋英介氏(元ズー・ニー・ヴーで80年代にはESアイランドを結成する)の3人でもセッションをしていたことがあるようで、以前、国内盤の「ベスト・オブ・Tレックス」のライナーでそれが触れられていた。

STEVE PEREGRINE TOOK

The Missing Link To Tyrannosaurus Rex


Crazy Diamonds

1996 / 2002

Cleopatra / Angel Air

*Steve Took(vo,g) / Mick Wayne(g) / Russell Hunter(ds) / Sandy Sanderson(b) / Twink(ds)

*ここに収録された10曲。曲の輪郭をぼかすミックスと過剰なアレンジのおかげで随分ソンをしているが、スティーヴが持っていた独特の作風が表われていて、非常に面白い内容となっている。平たく言えば「かなりヘン」なのである。


 1974年にはホークウィンドの詩人のロバート・カルヴァートのソロ・アルバム Captain Rockheed のセッションに参加。しかしスティーヴの参加テイクは使われず。このアルバムはホークウィンド、ピンク・フェアリーズ(トゥインク、ポール、サンディ、ラッセル)のメンバーやジム・キャパルディ(トラフィック)、ヴィヴィアン・スタンシャル(元ボンゾ・ドッグ・バンド)、アーサー・ブラウンも参加している。

FIRST ELEVEN(1974)
ROBERT CALBERT (vocal/percussion)
STEVE PEREGRIN TOOK (guitar/vocal)
ADRIAN WARGNER (synthesizer/keyboad)
PAUL RUDLPH(guitar) *Pink Fairies
RUSSELL HUNTER (drums) *Pink Fairies
SIMON KING (drums) *Hawkwind
NICK TURNER (sax/flute) *Hawkwind
JILL RICH (backing vocal)
POLIN ROBERTS (backing vocal)
*そのセッションを元に集まったメンバーでツアーも考えられ、つけられたバンド名がこれ。メンバーは上記のとおり。2曲が録音されたが、ツアーはマネージメントの反対により中止。

 スティーヴのインタヴューによると、これに近いメンバーでの録音が発表されて、ラジオなどでかかっていたようだ。恐らくそれが ROBERT CALVERT and the 1st X1 名義の片面ソノシート CricketStar(Wake Up Records WUR5) だと思われます。

 この74年にはスティーヴにデイヴ・ビドウェル、エイドリアン・ショウ(のちにホークウィンドに加入)、元リンド&リンダースの加藤ヒロシ氏の4人でバンドを結成したが、またもやレコードは発表していない。こののちデイヴはドラッグのオーバードースで死亡した。

 77年にはラリー・ウォリス、ジョニー・リヴァと一緒にレコーディングも行うが、またも未発表。

STEVE TOOK'S HORNS(1977)
STEVE TOOK (guitar/vocal)
TREVOR THOMS (guitar)*ex-Iron Maiden
ERMANO CHISIO ERBA(drums)
unknown (bass)
*ラウンドハウスでコンサートを行った。スタジオで録音もしたが未発表になっている。トレヴァーはこののちも活動を続け、ニック・ターナーのインナー・シティ・ユニットやピンクウィンドに参加した。

そのインナー・シティ・ユニットの80年6月16日のライヴへの飛び入り参加がスティーヴの最後の音楽活動になった。


1980年10月27日死去。享年31歳。

これにはちょっと驚く。80年代に入ってからもスティーヴが生きていた、という事実に関してもそうだし、インナー・シティ・ユニットというニック・ターナーがパンク/ニューウェイヴに触発されて作ったバンドのライヴへのゲスト参加というのにも驚かされる。逆に言えば、それだけスティーヴの持っているイメージが「80年代」「パンク/ニューウェイヴ」というキーワードからかけ離れている、ということの証明でもあると思う。

31歳という年齢も活動の割に随分若くして亡くなった、という感じだ。私たちが見慣れた彼の写真はたいていティラノサウルス・レックス時代のものだが、その時期、彼はヒゲを生やしているので実際の年齢(20歳頃)よりも老けて見える。むしろ死ぬ間際の方がヒゲを剃り落としているので、若く見える。

彼はマーク・ボランの死後3年程して亡くなったわけだが、マークが死んだ時、何を思ったのだろう?