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04.08.28更新

【都教委】 中高一貫校に「つくる会」教科書を採択!

 来年4月に開校する東京都立初の中高一貫教育校で使う歴史教科書について、東京都教育委員会は、「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書(扶桑社発行)を採択しました。
 この問題について、マスコミ報道・声明文・リンクなどを集めました。
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関連リンク 都教委への意見・抗議はこちら
東京都教育委員会
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/

新しい歴史教科書をつくる会
http://www.tsukurukai.com/

子どもと教科書全国ネット21
http://www.ne.jp/asahi/kyokasho/net21/top_f.htm

俵のホームページ(教科書ネット事務局長)
http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/index.html

教育庁指導部管理課
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関連報道リンク集
日付 新聞 見出し リンク
7/21 赤旗 つくる会教科書“採択許さない”
都教委の動きに緊急集会
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8/18 毎日 要請:「つくる会」歴史教科書、「都教委、不採択を」−−白鴎高卒業生ら要請 /東京 記事を読む
8/26 赤旗 「つくる会」教科書 きょうにも採択の動き
ゆがんだ歴史 教えさせない
狙われた東京・白鴎高校 OBが次つぎ声
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  東京 つくる会の教科書採択
都、中高一貫校普通学級用で初
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  毎日 東京都教委:
「つくる会」の歴史教科書 新設中学校で採択
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  朝日 「つくる会」の歴史教科書、都立の中高一貫校で採択 記事を読む
  毎日 <韓国>都教委の歴史教科書採択で憂慮を表明 記事を読む
  共同通信 扶桑社の歴史教科書採択 中高一貫校に東京都教委 記事を読む
8/27 産経 「反対意見99%同じ文言」都教委から疑問の声 記事を読む
  朝日 社説 教科書採択――東京の教育が心配だ 記事を読む
   東京 つくる会の教科書採択
反対派と都教委溝埋まらず
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8/28 産経 産経抄(朝日社説への反論) 記事を読む
  毎日 歴史教科書採択 都教委に抗議文−−県教職員組合 /島根 記事を読む
  毎日 都知事、つくる会教科書採択を評価 /東京 記事を読む
 

声明・アピールなど
  • 新しい歴史教科書をつくる会
  • 都立中高一貫校での「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
  • 女性史・ジェンダー史等研究者
  • 子どもと教科書全国ネット21
  • 韓国のアジアの平和と歴史教育連帯(「教科書運動本部」)
  • 日中韓三国で共通歴史副教材をつくっている、歴史学者のグル−プ
  • ソウル特別市長の書簡
  • ソウル特別市教育委員会の書簡
  • えひめ教科書裁判を支える会の抗議声明
  • 女性史・ジェンダー史等研究者
  • 東京歴教協
  • 教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま


「つくる会」の声明
東京都教育委員会による教科書採択に関する声明
一、本日、八月二十六日、東京都教育委員会は、来年度開校する都立中高一貫校の教科書として、扶桑社発行の『新しい歴史教科書』を採択した。都教委が、一昨年の愛媛県教委による中高一貫校(三校)の採択に続き、採択権者としての教育委員会の権限と責任にもとづき、子どもたちと我が国の将来を左右する教科書採択に高い見識を示されたことに心より敬意を表する。

二、東京都教育委員会は、平成十三年の全国一斉採択にあたり、文部科学省の改善指導を真摯に受け止め、同年二月、横山教育長名にて区市町村教委に対して「教科書採択事務の改善について(通知)」を発した。その中で、「新学習指導要領に示された各教科・分野の『目標』等を最もよく踏まえている教科書を選定する」ことを求め、中学校社会科歴史的分野の「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」という目標を例示した。この通知は教科書採択の抜本的改善策を具体的に指示したもので、都教委は同年夏の都立養護学校中学部の採択にあたって自ら率先してその範を示された。

三、その際の記者会見にて、横山教育長は、扶桑社版教科書の採択理由について、「学習指導要領の目標をもっとも踏まえて編さんされている」とした上で、「わが国の歴史に対する愛情を深めることに重点を置く構成になっていると判断した」と述べているが、本日の採択も同様の理由でなされたものと理解している。東京都教育委員会があらためて前記指導通知の徹底への強い意思を示し、毅然とした指導力を発揮されたことに深く敬意を表する次第である。来年の採択にあたっては、東京都の各採択区の教育委員会をはじめ全国の教育委員会が、都教委の方針をふまえ、参考にされるよう強く期待したい。

四、文部科学省は、異常な環境のもとに行われた平成十三年の教科書採択の実態を重視し、翌十四年八月末、各都道府県教育委員会教育長宛に「教科書制度の改善について」を通知した。この中で調査研究の充実に向けた条件整備及び採択手続きの改善についての具体的な方策を提示した。なかでも前回の採択をふまえた改善策として注目されるのは、「静ひつな採択環境の確保」が特記されたことである。採択権者である教育委員により、学習指導要領の「目的」及び「内容」を観点とした適正かつ公正な採択がなされるためには、前回の採択時にみられた外部からの組織的かつ暴力的な圧力は断固として排除されねばならない。

五、今回の東京都教育委員会の採択にあたっても、扶桑社版教科書の採択妨害のみを目的とした政治的かつ組織的な動きが一部にみられた。幸い、都教委が毅然とした姿勢を貫かれたため混乱は生じなかったが、本会は、今後このような誹謗・中傷に満ちた妨害行為がなされないよう、文部科学省をはじめとする関係機関に適切な措置を求めていく。報道関係各位には、前回の異常な採択環境を惹起した一因が加熱したマスコミ報道であったことを自覚され、適正かつ公正な採択を実現するため、特定教科書の採択妨害行為の報道については慎重を期していただくよう、強く要望する。
平成十六年八月二十六日
新しい歴史教科書をつくる会



都立中高一貫校での「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
都立中高一貫校に扶桑社の歴史教科書を採択したことに抗議する
 本日東京都教育委員会は、2005年4月に開校する都立最初の東京都立台東地区中高一貫6年生学校に、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」と略)が作成した扶桑社の歴史教科書を採択すると決定しました。
この歴史教科書は、神話を事実のように述べて天皇崇拝を強調し、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼称し、アジア諸国の独立のため戦ったかのように賛美・肯定するなど、日本の植民地支配と侵略の加害の事実を隠蔽し、歴史を歪曲する教科書です。
 また、この教科書は、2001年の採択時に「つくる会」が全国的に大宣伝し、採択させようと運動したにもかかわらず、多くの市民・保護者・教職員の反対にあい542採択区で一冊も採択されませんでした。わずかに東京の公立養護学校の一部と愛媛の公立ろう学校と一部養護学校で採択されたにすぎません。
 このような教科書を、都立最初の台東地区中高一貫校で採択したことは絶対に許すことはできません。わたしたちは怒りをこめて強く抗議するものです。
 「つくる会」は、2005年中学校教科書採択での「リベンジ」を主張し、その「前哨戦」として都立中高一貫校をターゲットとして「中高一貫校対策本部」をつくり、運動してきました。
 一方、東京都教育委員会は本年2月この中高一貫校の提言機関(顧問)に、米長邦雄教育委員、三浦朱門教科書改善協議会顧問など「つくる会」メンバーや支持者を任命しました。
 三浦氏は、教科書改善連絡協議会会長として、教科書から戦争の真実・事実をなくせ、教科書検定基準中の「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」とする、いわゆる「近隣諸国条項」を「削除せよ」という時代錯誤の署名活動を進めてきた人物でもあります。
 石原知事は、養護学校への「つくる会」教科書の採択を「一点突破」だと誇り、「都立の中高一貫校の教科書採択は、法に基づいて都の教育委員会がその責任において行う」と発言してきました。また、横山洋吉都教育長は、去る6月14日、東京・憲政記念館で開かれた、「つくる会」教科書の検定・採択を支援する集会に、パネリストとして参加しました。
 こうした経過の中で、私たちは「都立中高一貫校での『つくる会』教科書採択を阻止する東京ネットワーク」を結成し、76団体の賛同を得て集会も開き、都教育委員会委員長に対して次の二項目を申し入れ、要請行動を行ってきました。

1 東京都教育委員会は、2005年4月に開校される中高一貫校に、扶桑社の教科書を採択しないこと。
2 開校以降は、生徒・教職員など、現場の声を尊重して教科書を採択すること。

 署名を集め、短期間でしたが約3万人の方々が署名をしてくれました。
並行して、白鴎高校卒業生や女性史研究者の皆さんが、同じような主旨で賛同者を集め要請行動や記者会見を行いました。また、「東京ネット」結成当初から、在日大韓民国青年会が積極的に活動に参加してくれ、独自に資料を作成し記者会見なども行いました。
 また中国、韓国からメッセージが寄せられ、両国のメディアも大きく取り上げました。
 こうした国内外の採択に反対する声を無視して、都教委は強行に採択を決定しました。これでは都教委が発表した中高一貫校の基本方針に書かれている「世界の中の日本人としてのアイデンティティを育み、国際社会で活躍できる人間の育成」が可能だとは思いません。このような暴挙は一時的に成功しても、歴史の検証には決して耐えることは出来ないと確信します。
 2005年は全都・全国で中学校の教科書の採択が行われます。「つくる会」教科書が大きな問題になることは明らかです。
 6月14日の「つくる会」教科書の検定・採択を支援する集会に来賓として出席した安倍晋三自民党幹事長は「従軍慰安婦という歴史的事実はなかった。前回の教科書検定では左の勢力より『つくる会』に対する圧迫があり、言論の自由が奪われた」と言い、横山都教育長は「教員が教科書を選択する学校票をなくした」と、同じ集会で自慢げに発言しています。同集会で、河村建夫文部科学大臣も「同志の皆さん、21世紀を担う子供たちが日本人として自覚と誇りをもつには教科書が一番大事だと思っていただいていること、非常にありがたい」「今のまま(歴史教育)では、次の世代の子供たちが自信と誇りを失ってしまうのではないか」と述べ、「新しい提言によって『新しい教科書』が出てきたのは一歩前進である」と「つくる会」教科書を評価しました。この集会は、自民党の国会議員・地方議員合同のシンポジュウムであり、与党自民党、文部科学大臣、都教育長、一部政治家が一丸となって「つくる会」教科書を採択させようとするものです。これは教育への政治的介入そのものではないでしょうか。三年前には見られなかった恐ろしい事態になっています。
 石原知事は、教育委員会に教科書採択の法的権限があるかのような上記の発言に続いて、「都の教育委員の任命は知事であります。
 しかし、教育委員会が教科書採択権限を有すると明記している法律はありません。
 これらの発言は、ILОとユネスコ共同の「教師の地位に関する勧告」で「教員は・・・教科書の選定ならびに教育方法の適用について、不可欠の役割を与えられるべき」に反しています。またそれだけでなく、政府による閣議決定(97、98、99、04年)「将来的には学校単位の採択の実現に向けて検討していく必要があるとの観点にたち、当面の措置として、教科書採択の調査研究により多くの教員の意向が反映するよう」にも反するものです。
 東京都教育委員会は今年の卒業式・入学式で「日の丸・君が代」を徹底的に強制し、約300人の教員を大量処分しました。都立大学の大改悪も行おうとしています。
 首都東京の現在のファッショ的な教育行政は全国から強い批判の声が上がっています。
 イラクへの自衛隊の派遣、小泉首相の靖国参拝、有事法制、憲法・教育基本法改悪の動きなど、日本の右傾化・軍国主義化に対して、国内のみならずアジア諸国民は強い危機感を抱いています。石原知事は「来年は首相だけでなく、天皇も靖国神社を参拝してほしい」などと発言し、日本の平和と民主主義崩壊のお先棒を担ごうとしています。
 2005年は、教科書採択の重要な年であると同時に、戦後60年の記念すべき年でもあります。
 私たちは今日の都教委による不当な採択決定に屈することなく、子どもたちに「つくる会」教科書を手渡させないために引き続きたたかうことを決意しています。
2004年8月26日
都立中高一貫校での「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワーク
                         代表 吉田 好一


女性史・ジェンダー史等研究者
抗議声明
 私たち女性史研究者は、東京都教育委員会による来年度の都立中高一貫校で 使用する教科書の採択に関し、日本の侵略戦争美化や偏狭なナショナリズムを 鼓吹するばかりか男女平等・ジェンダー平等の視点からみても問題のある扶桑 社の教科書を採択しないようにというアピールを出しました。このアピール は、全国の女性史・ジェンダー史関係研究者をはじめひろい分野の専門家や男 女平等を願う市民の方々から広汎な賛同を得ました。

 これに基づき私たちは、去る8月23日(追加提出25日)東京都教育委員会に 対し扶桑社の教科書を採択しないよう要請いたしました。にもかかわらず、本 日都教委において扶桑社の教科書採択がおこなわれたことは、本アピール賛同 者の意思をまったく無視したものといわざるをえません。よびかけ人一同心か ら怒りをもって抗議いたします。

 さらに都教委は、性の尊厳と人権保障の立場に立った男女平等教育に対して も「性の区別をなくす」「日本の文化的伝統に反する」といった「新しい歴史 教科書をつくる会」の主張を無批判に受け入れたとしか思えない態度をとり、 「男女混合名簿」や「ジェンダーフリー」という用語を、教育現場から排除し ようとしています。都教委の方針は、戦後日本の女性が築いてきた男女平等の 歴史を否定し、国際連合をはじめ「女性の人権」確立をめざす国際的潮流にも 背を向けるものです。本日都教委が私たちの希望を無視して男女平等教育に逆 行する決定を行ったことに、強く抗議いたします。

 私たちは、日本の女性が戦前の家制度のもとで無権利状態のまま戦争に動員 されたこと、戦後も憲法改悪・再軍備など軍国主義の風潮が強まる時には「家 族制度の復活」が叫ばれたことを歴史的記憶として心に刻んでいます。今また 女性の権利への攻撃が声高になっていることは、憲法を改悪して「戦争する 国」をつくろうというねらいと軌を一にしているといわなければなりません。
この道を二度と繰り返させてはならないというのが私たちの願いです。 私た ちは、都教委が深く反省して今回の教科書採択と男女平等教育否定の決定を取 り消し、平和と人権を守る立場から真の男女平等教育をすすめるよう、要請い たします。            
2004年8月26日 
  
     アピールよびかけ人
       加納 実紀代     日本近現代女性史 敬和学園大学特任教授
       西村 汎子      日本中世女性史 白梅学園短期大学名誉教授
       早川 紀代      現代女性史・家族史 横浜市立大学非常勤講師
       広瀬 玲子      日本近代史・近代女性史 北海道情報大学教授
       米田 佐代子     日本近現代女性史 元山梨県立女子短 期大学教授


子どもと教科書全国ネット21
東京都教育委員会による扶桑社版歴史教科書の採択に抗議する
 本日8月26日、東京都教育委員会は、来春開校する都立台東地区中高一貫校の中学生用教科書として、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)が作成した扶桑社版歴史教科書を採択することを決めた。
 今回の中高一貫校における教科書採択については、かねてより横山洋吉教育長が扶桑社版教科書を支援する集会に教育長の肩書をもってパネリストとして参加するなど、公務員として許されない不当・不公正な姿勢でのぞんでいることなどから、扶桑社版教科書を強引に採択するのではないかとの危惧ならびに批判をあびてきたところである。
 この教科書は、2001年の中学校教科書採択のさい、戦争肯定の姿勢や天皇中心の歴史観などが大きな批判をあび、全国の国公立中学校では、1冊も採択されなかったものである。東京都においても、すべての市区町村で広範な市民の批判により全く採択されなかった。この事実を無視して都教委は、都教委自身が作成した「選定資料」(現場の教員も参加して調査・研究して作成)で大変低い評価だった「つくる会」の歴史と公民教科書を養護学校の一部に採択した。他の教科は全て「選定資料」で最も高い評価の教科書を採択している。前回の養護学校の採択は、石原慎太郎都知事が「一点突破になる」と自讃したように、教育的な配慮ではなく極めて政治的な意図による「実績づくり」であった。都教委は、この異常な姿勢を改めることなく、3年前と同じ過ちを再び犯したのである。
 ここにあらわれたような都民の声を無視し、学校現場の意見も聞くことなく、教育委員会の独断によって教科書の採択を決定すること自体、教育基本法第10条や学校教育法第28条などに違反する不当な行為である。さらに、ILO・ユネスコの「教員の地位に関する勧告」や度重なる閣議決定にも反する行為である。
 しかも扶桑社版歴史教科書は、現在の戦争を正当化するために、歴史の事実をゆがめて、日本が行った戦争を正しい戦争だったと描き出すものである。それは日本国憲法9条を改悪し、子どもたちを、現に行われているようなアメリカの戦争に狩り出すことをねらうものにほかならない。都教委がこの教科書を採択したのは、この間の異常な「日の丸・君が代」強制や性教育攻撃と同じねらいである。
 私たちは、本日の扶桑社版教科書の採択に大きな怒りをこめて抗議するとともに、このような不当な行為が各地にひろがることを阻止し、この教科書がねらう戦争肯定の思想の子どもたちへの押しつけと戦争への動員、そのための教育基本法・憲法改悪を阻止するために、全力をあげる決意である。
 私たちは、東京都教育委員会に対し、次の通り要求する。

1. 都立中高一貫校における扶桑社版教科書採択の決定を直ちに撤回し、教科書採択のやり直しを行うこと。採択のやり直しにあたっては、学校現場・保護者・都民・その他教育関係者の意見にもとづき、教科書を採択すること。

2.今 回の採択決定にいたる過程および審議の資料をただちにすべて公開すること。また、採択のやり直しを行うにあたっては、採択過程をすべて公開すること。
   2004年8月26日
子どもと教科書全国ネット21
         代表委員:石田米子・尾山宏・小森陽一・高嶋伸欣・田港朝昭・
鶴田敦子・西野瑠美子・藤本義一・山田朗・渡辺和恵
事務局長:俵義文



日中韓三国で共通歴史副教材をつくっている、歴史学者のグル−プの抗議声明
日本の東京都立中高一貫校が「つくる会」教科書を採択したことへの抗議文
 東京都教育委員会が、東京都立中高一貫校において、新しい歴史教科書をつくる会(「つくる会」)教科書(扶桑社版)の採択を決定したことは極めて重大なことであり、東京都の歴史認識問題における後退を示しています。歴史学者として私たちは東京都の今後の政治動向に心配すると同時に、東京都教育委員会の決定に厳しく抗議の意を表明します。
 皆さんもご存知のように、「つくる会」の歴史教科書は「大東亜戦争史観」に満ちた教科書であり、日本の歴史教育を戦前や戦時中の教科書に後退させるものです。いわゆる「大東亜戦争史観」と「大東亜共栄圏」の思想は、明治維新後の日本によるアジア蔑視の表現であり、戦後の日本がもしこうした考え方から抜け出そうと考えるならば、真摯に戦争責任と向き合い、一国主義の偏狭な世界から抜け出しアジアのなかへと向かわなければなりません。また、人権を尊重する角度から、戦争犯罪の歴史に深く反省しなければなりません。このようにしてこそ日本はアジアや世界各国の国民の理解と許しを得ることができ、国際社会における地位を向上させることができるのです。
 ところが残念なことに、「つくる会」の歴史教科書が掲げる歴史観は、依然として戦前の「脱亜論」と「アジアの盟主」という考え方の影響を受けており、戦前の「皇国史観」を広め、日本は「神の国」であると紹介するなど、過去の侵略戦争と戦争責任の認識に曖昧な態度を採っています。さらに「つくる会」の公民教科書は、日本の平和憲法を攻撃し、アジアを見放して偏狭かつ独りよがりな考え方で日本の利益だけを考えています。「つくる会」の『新しい歴史教科書』が広める歴史観は、戦前や戦時中の歴史教科書における主張と基本的に一致しており、戦後日本の民主主義が発展してきた方向に逆行するものです。また、グローバル化の進む世界的な発展にも逆行するもので、これは日本を新たな戦争の道へと引きずり込む教科書だといえます。だからこそ日本では絶対的多数の学校において2001年はこの教科書を採用しなかったのです。
 しかし現在、東京都教育委員会は、新設中高一貫校において「つくる会」が編纂した危険な『新しい歴史教科書』を採択することに固執しています。これに対し私たちは極めて重大な関心を払い、また厳しく批判せずにはいられません。
  2004年8月26日
中日韓三国共通歴史副教材中国側執筆者
歩平・栄維木・李仲明・卞修躍・王希亮・蘇智良・朱成山・劉燕軍・張連紅


韓国のアジアの平和と歴史教育連帯(「教科書運動本部」)の抗議声明
東京都教育委員会の「つくる会」教科書の採択を糾弾する!
 本日、東京都教育委員会が来年開校する都立中高一貫校の教科書として「新しい歴史教科書をつくる会(以下、つくる会)」の教科書を採択した事実に、私たちは怒りを禁じ得ない。このことは、日本による植民地からの解放60周年、韓日国交正常化40周年にあたる2005年を前に、両国が真の和解と共存を模索しなければならない時期に、危ない政治的意図から冷水を差したような仕打ちに他ならない。

 「つくる会」教科書は、日本の植民地支配によって深い心の傷を負った韓国や北朝鮮、中国などアジア被害国の人々を、再び深く傷つけた。日本国民に軍国主義精神を植えつけるためにアジアへの侵略の歴史を歪曲し、日本民族ばかりを優秀な民族に朝鮮民族は劣った民族として記述している。「つくる会」教科書は過去の侵略戦争の擁護に止まらることなく、国益のためとして戦争を美化している。特に、日帝植民地支配による被害者たちの痛みに背を向けたまま、日本軍「慰安婦」や強制動員を政治的造語だとして、植民地被害自体を否定している。

 私たちは2001年、「つくる会」教科書が全国での採択率0.039%という惨憺たる結果を迎えた当時も、東京都教育委員会が養護学校だけに「つくる会」教科書を使用させるよう採択した、その欺満的行為を記憶している。本日、東京都教育委員会委は3年前の過ちを正すどころか、再び「つくる会」教科書を採択することで、アジア被害国の人々を愚弄した。私たちは日本の美しい首都東京が、歴史的妄言をくり返し軍国主義復活を主導する石原慎太郎都知事や歴史歪曲勢力の拠点としてではなく、真のアジア平和の発祥地として生まれ変わることを願いながら、東京都教育委員会が反歴史的な採択決定を直ちに撤回するよう強く求める。

 「アジアの平和と歴史教育連帯(教科書運動本部)」をはじめ韓中日の市民は、歴史歪曲を許さず過去の教訓を今日に活かすことが東北アジア平和への近道になると信じ、歴史認識共有と和解のために熱い努力を傾けてきた。そして、そのような努力は2005年の教科書検定及び採択過程の時はもちろん、「つくる会」教科書が教育現場から姿を消すまで続けられるであろう。私たちは日本の生きた良心として屈することなく活動している市民の闘いに力強い連帯を送り共に歩む決意である。

1. 植民地支配を美化し、軍国主義の復活を目指す「つくる会」教科書に反対する!
2. 東京都教育委員会は歴史歪曲の危ない「つくる会」教科書の採択を直ちに撤回せよ!
3. 日本政府は侵略事実を謙虚に反省し、真実に向き合う歴史教育を実施せよ!
2004年8月26日
アジアの平和と歴史教育連帯(教科書運動本部)
常任代表:徐仲錫 李龍得 李秀浩 元寧萬 黄ス暎


ソウル特別市長の書簡
 日本国東京都知事
石原 慎太郎 様

  東京都政の発展に向けてご尽力なさる知事に対し、心より敬意を表します。ソウル市と東京都は、1988年の友好都市協定を結んで以来、様々な分野での交流を通じて友好関係を深めてまいりました。
  さて、来る8月26日にある東京都立最初の中高一貫校の白鴎高校の教科書採択と関連し、最近、東京都教育委員会の顧問として「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーと支持者が任命されたことを伺って手紙をお送りすることになりました。
  歴史は、見る観点によっていろいろな解釈方法があるとは思いますが、「つくる会」で作られた扶桑社の教科書は、韓国と日本の歴史を記述するに当って今までとはあまりにも違った観点に立っており、両国の良識ある歴史家と国民の憂いの対象になっている状況です。
  今後、韓国と日本の将来を担っていく青少年が、より客観的な視覚で歴史を接することができるよう、東京都教育委員会で韓国と日本の善隣友好関係に配慮して慎重に判断していただくことを要請します。
  なお、相互の文化理解と今後の両都市の友好関係の増進のため、小・中・高・大学の青少年の交流事業を実施することを提案します。ソウル市は、ソウルを訪れてくれる日本の青少年に対して積極的に便宜を提供し、案内する準備が整っております。
  改めて、知事の高配をお願いするとともに、知事のご健勝と東京都の限りない発展を祈念いたします。
2004年8月16日
                       ソウル特別市長
                        李 明 博


ソウル特別市教育委員会の書簡
日本国の歴史歪曲教科書についての書信
日本国 東京都 教育委員殿

 ご清勝にお過ごしの事と存じます。日々教育のために献身されている教育委員の皆様のご苦労に敬意を表します。

 世界の歴史に関する教育は、国家間の相互理解と信頼を基礎として推し進めていかねばなりません。こうした過程を通して国家間の善隣友好と未来指向的発展が成し遂げられると信じます。

 韓・日両国は1965年の国交正常化以後39年間、歴史についての相互理解と信頼を発展させようと努力してきましたが、こうした意志は1998年10月の「韓・日パートナーシップ共同宣言」と2004年3月の「韓・日首脳会談」を通して確認されたところであります。特に日本国東京都と大韓民国ソウル特別市は1988年以後姉妹友好都市として相互発展と友好増進に努力しつつあります。

 この間、両国の努力にもかかわらず歴史を歪曲した教科書発行と採択が両国の友好増進努力において懸念の種となっています。

 世界歴史は観点によってその理解に差が生じる事もありますが、地球村時代の歴史観点は相互理解と信頼を基礎にして未来指向的観点から始められねばなりません。

 この間、大韓民国政府は歴史を歪曲した教科書の内容に対して何度も修正要求をしましたが、いまだに受け入れられず、、2001年度にはソウル特別市の姉妹友好都市である東京都で歴史叙述の問題性と危険をはらんだ教科書が採択されるという事態が発生しました。

 育ち行く青少年に歴史認識の根本と健全な世界観を形成させねばならない教科書にまで侵略と加害の歴史を正当化する等の歪曲した歴史叙述を載せ、それを学校の教科書として採択することはまことに遺憾なことです。

 我々、ソウル特別市教育委員は東京都で再びこうした事態が起こる事を憂慮し、この意見をお伝えして2004年8月に中高一貫校で扶桑社の歴史歪曲教科書が採択されないように、韓日両国の友好関係に困難が生じないように努力して下さることを希望します。

 日本国の多くの知識人と市民団体が歴史歪曲教科書に関して、両国の善隣友好関係と未来指向的発展のため努力して下さっていることに対し心から感謝申し上げ、今後も共生のための歴史意識と行動において韓日間友好関係をさらに広げていくことができるよう望みます。

 我々、ソウル特別市教育委員は大韓民国と日本国が過去の痛苦を克服し、よりよい善隣友好関係を築くことを祈願し、東京都教育委員の皆様の安寧と幸福を願いながら、この一文を差し上げます。

ご健康にお過ごしください。
                       2004年8月24日
大韓民国ソウル特別市教育委員会 教育委員一同



えひめ教科書裁判を支える会の抗議声明
戦争を賛美し「戦争ができる国」をめざす扶桑社の歴史教科書の採択に対する抗議声明
私たちは、諦めない!
はじめに
 扶桑社版中学歴史教科書「新しい歴史教科書」(以下、「つくる会」教科書)は、過去の日本の負の歴史に蓋をし、一方で他国、他民族を蔑視し、日本人のみが優れた民族であるとする偏狭な国家主義に貫かれた歴史読み物として書かれた教科書である。
 「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、「つくる会」)は、「戦争ができない国」から「戦争ができる国」にするための精神的準備を子どもたちに注入することを目的にしてこの教科書を作成したのである。それは、国際社会の一員として世界の人々ともに生きて行かなければならない子どもたちにふさわしい教科書であるとは、到底言えない代物である。

 ところが、東京都教育委員会及び各教育委員は、白鴎高校保護者や卒業生・東京都民及び全国多くの人たちの願いを踏みにじって石原慎太郎東京都知事と「つくる会」及び文部科学省と結託して、2005年開校される都立中高一貫校に対して「つくる会」教科書を採択した。怒りをとおり越え暗澹たる思いに包まれる。かつて防共協定を結んで1945年に日本と同じく無条件降伏したドイツの戦後の歴史教育の姿勢と比べるときその違いに途方に暮れる。

自国中心的歴史観からの克服が私たちに問われている
 ドイツにおける戦後の歩みは、日本と同じく再び戦争を繰り返してはならないとの反省であった。そして、ドイツでは、この負の歴史を子どもたちにありのまま教えることでそのことを実現しようとし、軍事占領した隣国との間で共同の歴史教科書を作成し、これを学校で使用する取り組みがなされた。それは、「過去のことを知ろうとしない者は、現在のことにおいて対処できない」との趣旨の発言をしたワイゼッカードイツ元大統領の発言にも端的に現れているように、歴史から真摯に学ぶという姿勢である。
 近藤孝弘氏は、『ドイツ現代史と国際教科書改善』の中で、西川正雄氏著書『自国史を越えた歴史教科書』からの引用として「自分たちの国家が関与してきた戦はことごとく防衛のための戦争で、外国のたたかった戦争は侵略戦争なのだと思うように仕込まれ・・・・予期に反して、自国が外国を征服するときは、福音の光りを点ずるために、高い道徳や禁制をまたは他の同じような高貴なことを広めるためにそうしたのだと信じるように教育され」と述べている。これが欧米列強国の近代国民国家が行ってきた歴史教育であり、日本もその例外ではなかった。
 天皇制軍国主義国家であった大日本帝国は、欧米列強諸国を国家モデルとし富国強兵を掲げアジアに市場を求め軍事侵略を行った。そして、この侵略戦争はアジア太平洋戦争へと拡大していった。ところがこの戦争を当時は「大東亜戦争」と呼び、この戦争の目的を、ハレンチにもアジアを欧米の支配から解放し、「大東亜共栄圏」を建設することであると子どもたちに教えていったのである。
 このような明治以降の近現代史の歴史認識が克服されずに現在まで色濃く残され、この認識が息を吹き返している。このことに、いま日本社会が恐ろしい方向に向かっている根本的原因がある。このような自国中心的歴史観をどのように克服して行くかが、問われているのだ。それをドイツは克服しようと努力してきた。
 ところが日本政府は、「つくる会」教科書の検定合格に際して、中国政府や韓国政府による「日本の侵略の歴史を歪曲している」との抗議とその記述の修正要求をまったく無視した。また、多くの与党政治家たちは、これら中国政府や韓国政府の要求に対して「内政干渉だ」と述べている。
 さらに、今回の東京都の出来事で私たちを憂鬱にさせるのは、「日の丸・君が代」を力ずくで教育現場に押し付けたように、こんどはこのような恐ろしい政治目的を持った教科書を、愛媛と同じように力づくで採択し、子どもや教師及び保護者に押し付けようとしていることであり、東京都が愛媛県と同じくこのような企みを全国に広げて行くための拠点となろうとしていることである。

私たちは諦めない!
 この夏に、韓国に中国・韓国・日本の子どもたちが集まり「歴史体験キャンプ」が持たれ、歴史認識についての討論をとおして歴史学習と交流が行われた。また、「つくる会」教科書の検定合格に端を発して、歴史認識を共有し歴史副教材を中国・韓国・日本の歴史学者を中心に共同制作しようとする取り組みが始まったが、この「歴史体験キャンプ」と平行して第3回「歴史認識と東アジアの平和フォーラム」が持たれ、歴史副教材が来年5月に中国・韓国・日本三国で同時に出版されることが確認された。さらに、「2005年 日本教科書検定及び採択に対する韓中日戦略会議」が持たれ、互いに連携して取り組んでいくことが確認された(愛媛からもこれに参加した)。このように2005年の教科書採択に向けた中韓日の取り組みが進められている。
 一方、私たちは、2001年には県立養護学校などで、2002年には県立中高一貫校において、加戸守行愛媛県知事の不当な政治介入を受け入れた愛媛県教育委員らによって違法にそして、力づくで「つくる会」教科書を採択されてしまったが、諦めることなく、法廷の場でこの違法な企みを暴き、採択の無効と損害賠償を求めて闘っている。
 来年再び中学校教科書の採択を迎えるに当たり、私たち一人ひとりは、権力を持たない微力な存在であっても愛媛の地に根を張り、諦めることなく、この社会の主権者として小さな<ちから>と<知恵>とを出し合い、全国の仲間と協力し合いそして、韓国・中国の人たちとも連携し、「つくる会」教科書を採択させないために行動して行く。
2005年8月26日
えひめ教科書裁判を支える会



女性史・ジェンダー史等研究者
    教科書採択に関する女性史・ジェンダー史等研究者のアピール
 私たち女性史・ジェンダー史等の研究者は、かねてから「新しい歴史教科書 をつくる会」による扶桑社の「新しい歴史教科書」と「新しい公民教科書」について、歴史事実に反して日本の侵略戦争を美化し偏狭なナショナリズムをあおるとともに、戦争の重大な被害者である「従軍慰安婦」の記述を拒否し、女性の社会的進出を「家族の絆がくずれる」とするなど、戦後の女性運動が築いてきた「女性の人権」に対する攻撃的視点が露骨であることを批判してきました。2001年の教科書採択で「新しい歴史教科書」の採択率が0.039%にとどまったことは、日本国民の良識のあらわれであったと考えています。

 しかし「つくる会」では、2005年の教科書採択に向けて「10%以上の採択」をめざすとし、採択の権限を持つ地方自治体の教育委員会や議会への攻勢を強めています。すでに千葉・茨城県議会などでは「自虐史観に偏る」ことのないように「教科書検定制度見直し」を求める意見書が採択されました。東京荒川区では、「つくる会」の役員らをメンバーに加えた「男女共同参画社会懇談会」が、「男女共同参画社会基本法」にも反する性別役割を強調する報告書を提出、これに沿った条例案が区議会に出されましたが、広範な区民や市民団体の反対運動で撤回されました。また東京都では、教育長が「つくる会」のシンポジウムにパネリストとして出席するなど「つくる会」と深いかかわりをもち、都教委は都立養護学校の人間の尊厳を基調とする「性教育」を事実上禁止、最近の報道によれば「男女混合名簿禁止」「ジェンダーフリーの用語の教育現場からの排除」の通達を都立高校や市町村教委に出す方針といわれ、これまですすめられてきた男女平等と人権の立場に立つ教育をつき崩そうとしています。この6月には自民党「憲法改正プロジェクトチーム」による「論点整理(案)」が出されましたが、そこでも憲法九条改悪など露骨な国家主義の主張とともに国民の「家族共同体における責務」を明確にすべきであるとして、憲 法二十四条の「両性平等」規定を見直すと明言しています。これは、与党の教 育基本法「改正」の「中間報告」が「男女平等教育」を削除しているのと軌を 一にするものです。扶桑社の教科書は、こうした「戦争国家づくりと女性差 別」の教育をおしすすめるものといわざるを得ません。

 このような状況のもとで東京都教育委員会は、2005年度開校予定の都立中高 一貫校で使用する教科書をこの8月中にも採択する予定といわれます。もしこ こで扶桑社の教科書が採択されるならば、それは2005年の教科書採択にも影響 を及ぼしかねず、日本の侵略戦争で被害をこうむったアジア諸国の人びととの 真の和解および平和と連帯の構築に大きなマイナスになるばかりか、戦後日本 国民が築いてきた男女平等と女性の人権を破壊し、女性の人権確立をめざす国 際的潮流にも反することになるといわざるを得ません。
 私たちは、女性史研究者としてこの問題を見過ごしにすることはできないと 考え、当面する東京都立中高一貫校の教科書採択において、都教委が扶桑社の 教科書を採択しないように求めるアピールを発表いたします。
  よびかけ人
加納 実紀代     日本近現代女性史 敬和学園大学
西村 汎子      日本中世思想史 白梅学園短期大学名誉教授
早川 紀代      現代女性史・家族史 横浜市立大学(非常勤)
広瀬 玲子      日本近代史・近代女性史 北海道情報大学
米田 佐代子     日本近現代女性史


東京歴教協のアピール
東京都教育委員会による扶桑社版歴史教科書採択に抗議し、撤回を求める
 私たち東京都歴史教育者協議会は、東京都教育委員会が、多くの市民の反対の声に耳を傾けることなく、来春開校の中高一貫校で使用する教科書として、扶桑社版歴史教科書を採択したことに強く抗議する。

 皇国史観に基づいた戦前の歴史学・歴史教育は、国家のため、天皇のために命を捧げる子どもたちを育て、アジアへの侵略戦争を推進する役割を果たした。
戦後の歴史学・歴史教育は、このことの深い反省に立ち、日本国憲法や教育基本法の理念に基づき、平和で民主的な社会にふさわしい歴史認識の形成をめざしてきた。私たち東京都歴史教育者協議会も、1964年の結成以来40年間、会に集う教員・市民・学生が互いの研究や実践を交流させながら、歴史教育者協議会の全国の仲間とともに、戦後の歴史学・歴史教育の一翼を担ってきた。
 「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが執筆する扶桑社版歴史教科書は、戦後積み重ねられてきた歴史学・歴史教育の成果を否定するもので、内容的に大きな問題を含んでいることは既に多くの批判から明らかである。私たちは、民衆・「国民」の主体的な営みを軽視し、アジアへの侵略の事実を覆い隠し、近代以降の日本の戦争を防衛戦争として描く、この扶桑社版歴史教科書を断じて認めることができない。

 しかも、横山洋吉都教育長は、6月14日に扶桑社版教科書を支持する議員のシンポジウムに東京都教育長の肩書きでパネリストとして参加した。これは、教科書の採択事務を公正に執行する責任をもつ公務員たる教育長として、不正な行為であり、公務員としての信頼失墜行為でもある。ましてやその横山教育長も出席した教育委員会で、扶桑社版教科書採択を強行したのである。この採択は、公正さを欠く一方的なものである。

 そもそも、実際に児童・生徒に授業を行う教師が、教材を選定していくことはILOとユネスコの勧告でも確認された国際常識である。教員から教科書採択権を奪い、教育委員に採択権を委ねさせる2001年以来の東京都教育委員会のやり方は、現場教員が採択しない扶桑社版歴史教科書を採択させるための策としか考えられず、大きな過ちである。
 
 自衛隊のイラク派遣・有事法制など憲法の原則がふみにじられ、「愛国心」を強調した教育基本法「改正」や自衛隊を軍隊に改める憲法「改正」など、日本を、再び戦争ができる国にしようとする動きがあることに、私たちは強い危機感を覚えている。こうした中で、扶桑社版教科書が採択され、生徒がこのような教科書で歴史を学ばされることを、私たちは認めることができない。

 私たち東京都歴史教育者協議会は、東京都教育委員会による扶桑社版歴史教科書採択に強く抗議し、その決定の撤回を強く求めるものである。
                          2004年8月26日
                     東京都歴史教育者協議会
                           会長 大坪庄吾


教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま
東京都立中高一貫校に扶桑社版歴史教科書を採択したことに抗議する
 東京都教育委員会は2004年8月26日、2005年4月に開校される東京都立中高一貫校の教科書に扶桑社の歴史教科書を採択した。わたしたちはこのことに強く抗議する。
 この教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)の主導により、アジア蔑視と侵略戦争の美化を基調とする内容を通して、子どもたちから戦争への批判的視点を奪い、再び国家のために戦争に動員されていく「精神」を培うことを意図して作られたものである。この教科書に対し、韓国、中国をはじめアジア諸国から強い懸念の声が上がっているのは周知の事実である。この教科書は、相互理解に基づく平和的な国際社会の確立を阻害するものであり、将来の歴史を担う子どもたちが学ぶ教材としては極めてふさわしくないものである。
 かつて日本は、誤った国策に基づき侵略戦争に突き進んだ。その結果、アジア・太平洋地域の人々に大きな被害をもたらし、日本の青少年もこの戦争に動員され命を失った。当時の教育は、このような悲惨な結果をもたらす原動力となったのである。これは決して美化してはならない歴史である。被爆の歴史を継承し、あらゆる戦争を否定するヒロシマは、侵略戦争を美化する教科書が教育の場で用いられることを許すことはできない。
 このような歴史への反省を踏まえ、日本国憲法と教育基本法が制定されたのであるが、今回の教科書採択に関し、アジア蔑視発言を繰り返してきた石原慎太郎都知事は、諮問機関や教育委員に「つくる会」の支持者を任命するなど、扶桑社の教科書が採択されるように恣意的な人選を行ってきた。石原都知事および東京都教育委員会の姿勢は、「日の丸」「君が代」の強制に伴う教職員の大量処分とあわせ、行政の教育への介入を禁じた教育基本法への重大な挑戦であると言わざるを得ない。
 以上を踏まえ、わたしたちは以下のことを要請する。

1.東京都教育委員会は今回の採択結果を白紙撤回し、国際社会の 信頼に耐えうる教科書採択を行うこと。
2.東京都教育委員会は「ILO・ユネスコ教員の地位に関する勧告」に基づき、教科書採択に現場教員を参加させること。
3.東京都教育委員会は選定資料等、採択にかかわるすべての情報を開示すること。
4.石原慎太郎東京都知事および東京都教育委員会は、教育への不当な介入を直ちにやめること。
             2004年8月28日
教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま