春秋戦国志〈下〉 (講談社文庫)



春秋戦国志〈下〉 (講談社文庫)
春秋戦国志〈下〉 (講談社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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大国秦も一目置いた「刎頚の交わり」

 作者のシニカルな視点も交え、終始軽快なテンポで600年になんなんとする激動の春秋戦国時代を堪能できる作品。この作品もそうであるが、中国の歴史の魅力は何といっても「人物を中心に据えて」語られることだと思う。ただ、成功した話より失敗した話の方が遥かに多い。伍子しょ、呉起(呉子)、商おう(こういう時に漢字が出ないのはもどかしい限りである)を始め、才覚を世に示したが悲惨かつ残酷な末路を辿った者は多く、史記を記した司馬遷が「天は立派な人物に対して余りに無慈悲である」と慨嘆したのも頷ける。
 だからこそ、まじない師を長江に放り投げて迷信を打破する一方、民の恨みを恐れず使役して後世まで残る大用水路を作らせた晋の官僚西門豹や、名将楽毅に領土を殆ど占領され絶体絶命の斉を、鬼謀を巡らせて大逆転した田単など、歴史の中心たらざる人物が望外の成功収めた話は実に爽快である。
 また、下巻で紹介されている、秦の圧力を受け斜陽に立つ趙を支えた「りん相如」と「廉頗」の「刎頚の交わり」のエピソードが自分の一番お気に入りである。相如は一介の食客ながら外交の使者として大国秦の王を手玉にとる(「完璧」の語源となる)殊勲を挙げて一躍大臣に抜擢されるが、趙の名将として世に名を轟かせていた廉頗大将軍は舌先三寸で自分の上役になった相如が面白くない。いつか恥をかかせてやると息巻いた廉頗を相如は避けるようになるが、「趙は私と廉頗将軍で持っている。二人が争えば秦国に利するだけであり、だからこそ無用の乱を避けているのだ」という相如の話を伝え聞いた廉頗は大いに恥じ入り、罪人姿で相如に詫び、共に首を斬られても(刎頚)悔い無しという固い友情を誓ったというエピソードである。その後彼らの目が黒いうちはさすがの秦も趙に手を出せなかったのである。気に食わない同僚の足は引っ張るためにあると考えているサラリーマンや役人どもに是非聞かせてやりたい話である。

ギャグが面白い

中国古典を基にしたとは思えない、現代的な文で読みやすい。
ギャグというか、キャラ同志の掛け合い漫才は現代小説としても通用するだろう。
三国志至上主義の私としては、他の時代でも、もちろん面白い人物やエピソードがあったのは判るが、
私は三国志を正しく理解する為に、他の時代のものも読んでいるので、
その点からはあんまり参考にはなりませんでした。
春秋戦国史を気軽に楽しませてくれる好著

中国古典に直接接したことがなくても、呉子や楽毅といった名前は聞いたことがある人は多いはず。国の興亡盛衰が、リーダーの資質にどれほど左右されるか、認識を新たにさせられる。また、どこかで聞いたことがある故事の由来や人物の功績を確認するという意味でも気軽に楽しめる。



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