未 来 視
〜オリジナル小説〜

著者:レティ


 超能力についてどんなイメージを持っているだろうか。
 超能力と呼ぶだけに超常現象な能力だと解釈してもらって構わない。
 さて、自分なりの答えを出してもらえただろうか。
 なぜこんな事を聞くかと言うと、正直に話そう。俺はいわゆる超能力者で予知能力というものを持っている。
 お、その顔は信じてないな。なに、予知能力があるなら競馬辺りでもすれば金持ちになれる? なのに貧乏ったらしい格好してるなんておかしい?
 オーケイ、正直は美徳だが俺は正直好きじゃない。矛盾しているがそれが人の心の複雑さってヤツだね。まあ言葉遊びはどうでもいい、これは事実なんだ。
 ああ、そう邪険にしなさんなって。焼酎一杯つまみ付きでおごるよ。この居酒屋のつまみは美味い。あんたもそれを知ってるからここへ来たんだろう?
 さて、先の質問だが弱点があってな、24時間先まで俺は読める。読めるがその後24時間身体が動かない……まあ一種の仮死状態だな、そうなっちまう。
 だから競馬の一位を知る頃にはとっくにレースが終わっていて馬券を買う事ができず意味が無いと。カミサマを信じてるわけじゃないが世の中良く出来てるよ。多分世界にはこんな風に大事にできない超能力者がざらに隠れてるんじゃないかって思うね。
 まあ、それでも俺は絶望にも負けずこの超能力。いいか、役立たずでも超能力だ。これを生かさない手は無いと思ったね。それでまあ、人様の役に立てる職業につけたんだよ。能力の応用というか抜け道を探し出してな。何だと思う?
 予想がつかない? そうだな、あっさり答えられても困る。何せ俺が思いつくまでメシも食わず夜も眠らず二時間もかけて考えたんだ。それを一瞬で答えられたら俺の立つ瀬が無いってもんだろ。
 お、少し動揺してるね。未知の力を相手にして恐れを抱く……はははっ、段々俺の話を信じ始めてるんだな。
 え、嘘だろって? いやいや、あくまで本当さ。俺は嘘を言うのは嫌いなんでね。しっかり信じてくれないと困るぜ。
 それで仕事の方なんだが、まあいわゆる非公開の調査部門に所属しているんだよ。公的機関の一種だな。俺の力が役立つって証明するのに骨を折ったがなんとか信用してもらって仕事に就けた。
 おっと、冷や汗が出てるぜ。おしぼり使うか? いらない? そうか、まあ話しの続きを聞きなよ。
 それでだ、どうやって生かしたかと言うと……俺の予知は、未来を知る事ができる。これから起こる出来事を知る事ができるわけだな。だが、二十四時間後の時点から見てみれば過去だ。二十四時間の過去を俺は知っている事になる。
 つまり、他人の予知をしておけば二十四時間の監視をしたのと同じ効果があるわけだ。これでいわゆる容疑者の監視ってものが可能なわけだぜ。どうだ、いいアイデアだろ?
 なあ連続殺人犯さん。
 もちろんこんな力に証拠能力なんてないさ。だがあんたが土に埋めた凶器は今頃掘り出されてる事だし、アリバイのトリックなんてものも仕掛けてる様子を見れば一発で分かってしまう。丸裸にされたも同然だろ?
 そんなわけであんたの包囲網が完成しちまったってわけだ。ここを出れば警官隊がしっかり身柄を確保してくれるぜ。
 さて、それじゃあ本題に入ろうか。え、今更何を話すのかって?
 あんたがさ、最後に殺した……完全な通り魔行動で、気まぐれに殺したのは俺の弟だ。
 それを予知した時の俺の絶望感を想像してみろよ。十六時間三十二分二十八秒後に家族が殺されると分かっていながら何もできなかった悔しさを。
 そんなわけで俺はあんたに復讐する事にした。友人の力を借りてな。
 こいつも超能力者仲間でね。体感時間を遅くする事ができる。
 これであんたは例え一日だろうと実刑判決くらえば精神が崩壊するまで牢屋入りだし、そもそも十中八九死刑判決が出るだろうから死ぬ間際の苦しみも百年分くらい体感してもらおうかと思ってる。少しは後悔してくれよな。でないとわざわざ説明した意味がなくなる。
 え、何でこんな話をしたかって?
 言っただろう、復讐だって。わけのわからない不幸じゃなくて理由ある超常現象だと把握してもらわないとな。希望はしっかり潰させてもらうぜ。
 ……ああ、希望が無くなるまで絶望させ続けるのも良かったかもな。うっかりしてたぜ。
 まあ、今さら手遅れだ。あんたにどんな理由があったか分からないが、分かるつもりはないし関係ないな。罪に対する罰はしっかり待っていたわけで、それで十分だ。あんたの不幸に乾杯! ここの支払い分はおごってやるからよ。末期の酒はじっくり味わってくれよ。じゃあな。


 おしまい


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