2004.03.30 映画「猫は知っていた」
2004.03.23 小川一水「第六大陸」
2004.03.21 余波はここにも
2004.03.20 リズムに合う本の題名は
2004.03.18 MYSCON5 その4
2004.03.17 アレックス・アトキンスン「チャーリー退場」
2004.03.16 MYSCON5 その3
2004.03.15 MYSCON5 その2
2004.03.14 MYSCON5 その1
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(2004-03-31水)
『本棚の中の骸骨』サイトで紹介されているアンソニー・バウチャーの書評集『The Anthony Boucher Chronicles』三冊本が欲しい。
直接販売元にメイルを出しての購入のみでamazonなどのインターネット本屋では買えないようだ。
英文メイルを書くのが面倒なので躊躇している。
どなたかまとめ買いをしてくれないものか。
それにのらせてほしい。
販売元「Ramble House」のURLはこちら。
この販売元、妙な本ばかり売っているように見える。
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角川文庫でかつて出ていた横溝正史作品のほとんどを古本屋にまわらずとも購入できることを本日初めて知った。
紙の本ではなく電子書籍としてである。
横溝正史生誕百年記念として紙の形では品切れ・絶版になっている書籍を2002年6月から電子文庫パブリの本として出し始めていたのである。
90冊ほどある角川文庫版横溝正史作品のうち電子化していないものは残り10冊未満。
この刊行ペースでいくと今年中に全て刊行されるだろう。
本の形態にこだわりがなく、読めるものが手元にあればそれでいいという人にはこれで十分。
苦労して古本探しをする必要は無い。
古書高価本である『横溝正史読本』がリストに無いことだけが少しだけ気になる。
すでに電子化されている『真説 金田一耕助』もリストに載っていないので、たんにリストに載せ忘れしているだけかもしれないが。
『横溝正史読本』が横溝ファンなら読んでおいたほうがいい本であれば電子化したほうがいいだろう。
そうすれば紙の本の値段がどうなろうがそちらは古書好きの人たちの間だけのことになり横溝ファンにとってはどうでもいいことになる。
もっとも『横溝正史読本』を読んでいないので横溝ファンのための本なのかは知らないのだが。
電子文庫パブリの「横溝正史生誕百年記念」URLはこちら。
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絶版・古書高価ミステリ本のいくつかは電子書籍として購入できることを知っているミステリ・ファン(特に1960年代以前の海外ミステリ作品が好きな人に)は多いはず。
「グーテンベルク21」では角川文庫や講談社文庫から出ていた絶版海外ミステリ本(といっても他社であれば新刊本屋で買える本が多いが)やロバート・ファン・ヒューリックの中央公論社から出ていた作品が購入できる。
新刊本にカーの『死が二人をわかつまで』(国書刊行会版)があった。
絶版・品切れでもないのに何故だろう。
* * * *
「グーテンベルク21」で一冊電子書籍を買ったことがある。
カーの『黒死荘殺人事件』だ。
一覧に「宇野利泰訳」と書いてあったので「宇野さんの訳とは珍しい、読んでみよう」と買ったのである。
購入・ダウンロードしていざ開いてみれば平井呈一訳だった。
講談社版の訳である。
詳細画面にいくと「平井呈一訳」としっかり書いてある。
でも一覧だけ見て買う人もいるのだから早く直しておいてほしいものだ。
『プレーグ・コートの殺人』(あるいは『黒死荘殺人事件』)の宇野利泰訳本はあるのだろうか。
一度新潮文庫の巻末にある文庫リストで「黒死荘 カー/宇野利泰訳」の文字を見たことはある。
だが、文庫の巻末リストはあてにならないもの。
インターネットで図書館情報やカー研究サイトを検索してもヒットしない。
たぶんこの世には存在しない本なのであろう。
「グーテンベルク21」のサイトはこちら。

「黒死」違い
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(2004-03-30火)
ピーター・ユスティノフの名前で最初に思い浮かべるのは、エルキュール・ポワロを演じたことではなく、パトリシア・モイーズがピーター・ユスティノフ劇団の秘書をしていたこと。
ポワロを演じるには背が高すぎたユスティノフだが映画自体はミステリ・ドラマとしてよく出来ていた。
『白昼の悪魔』を映画化した『地中海殺人事件』(Evil under The Sun 1982年作品)がベスト。
ユスティノフはポワロだけでなく『オリエンタル殺人事件』(Charlie Chan and Curse of the Dagon Queen 1980年作品)ではチャーリー・チャンも演じている。
こちらは未見だが評判を聞くとコメディ映画のようだ。
ミステリ映画ではエリック・アンブラー『真昼の翳』の映画化『トプカピ』(Topkapi 1964年作品)に出演していてこれで2度目のアカデミー助演男優賞を受賞している。
キューブリック映画『スパルタカス』(SPARTACUS 1960年作品)が最初の受賞。
(『スパルタカス』はキューブリックらしからぬスペクタクル古代劇。
スパルタカスをかばい男たちが「俺がスパルタカスだ」と叫び次々と立ち上がるシーンがいい)
『真昼の翳』はアンブラーの裏ベスト本。
映画『トプカピ』のほうもいつか見てみたい。
ピーター・ユスティノフ、2004年3月28日死去、82歳。
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本日放映されたNHK−BS2の『名探偵モンク』第1話「狙われた市長候補」(mr.MONK and the CANDIDATE)を見た。
おもしろい。
謎解きミステリ・ドラマがおもしろくなるならないは、謎解き部分に映像ならではの場面があるかどうかにかかっている。
第1話を見る限りそれがある。
第1話の謎解きミステリ・ドラマ満足度、100点満点で75点。
次回が楽しみ。
NHK−BS2の「名探偵モンク」URLはこちら。
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2004.03.30(火)
| <本日の一本>
●『猫は知っていた』(大映 87分 1958年作品)
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チャンネルNECOで放映していたのを見た。
原作は仁木悦子さん。
監督島耕二。
仁木さんが『猫は知っていた』で第三回乱歩賞を受賞したのは1957年。
翌年の映画化である。
* * * *
芸大の学生仁木悦子は兄と共に箱崎病院の二階に引越してきた。
箱崎家の末娘幸子にピアノを教えることになったのだ。
病院の人たちは、皆、どこかしら変っているようだった。
そんなある日、院長の母が突然姿を消し、翌日死体で発見された。
だが入院患者をはじめ関係者には確たるアリバイがあった。
その後、第二の殺人事件が発生。
連続殺人の謎を悦子が解明していく。
* * * *
仁木兄妹の妹悦子を演じたのは仁木多鶴子さん。
前の名前を「鶴田和子」と言ったがこの映画で原作者から姓をもらい改名している。
最初は「仁木悦子」と改名しようとしたらしいのだが誰だったかが何かを言って「多鶴子」に落ち着いたと仁木悦子さんのエッセイに書いてあった。
どこに書いてあっただろうか?
『別冊幻影城』だったか立風書房『仁木悦子全集』だったかあるいは『猫と車椅子』(これは仁木さんの作品では無いけれど)だったか。
* * * *
小説を読んでわかっていたことではあるけれど映像で見てあらためて思うことは、この兄妹仲が良すぎる。
仁木兄妹は病院の病室一室を借りて生活をしているのだが、大学生の妹が兄と同じ部屋で毎日寝起きするだろうか。
今だとあまり考えられない状況だ。
ただ、1950年代の日本の状況や住宅事情ではこれがふつうのことだったのかもしれない
* * * *
映画の設定では、猫は仁木兄妹が飼っていることになっている。
原作は違ったような。
捜査担当の警部が仁木兄妹に会って「やあ、久しぶり」と挨拶し周りの警察官に「ほら亡くなられた仁木警部のお子さんたちだ」と紹介している。
これも原作と違ったような。
* * * *
原作『猫は知っていた』は映画向きでは無い。
それを脚本でカバーというか少々無茶なことをしていて盛り上げていた。
無茶なこととは防空壕の設定。
防空壕がとても広くて洞窟か鍾乳洞のようだ。
ラストの謎解き場面では雷鳴とどろきまるでカー作品のように・・・・。
楽しめる。
* * * *
殺人事件が起きた場面にしてはバックに流れる音楽が明るすぎ。
能天気と言ったほうがいいかもしれない。
一見明るい雰囲気がする(実は違うのだが)仁木さんの作品だからまあいいか。
* * * *
浦辺粂子が殺される院長の母を演じている。
このころからおばあさん役をしていたのか。
* * * *
病院に越してきた悦子が荷物を病室に運ぶ場面で30冊ほどの本をかかえている。
なにかとぶつかって本を落とし、近くにいた人がひろい「ほう、探偵小説ですか」と言われるのだが何の本かかえていたのだろうか。
夕食の席で院長の長男から「弟が置いて行ったのでお貸ししますよ」と原書を二冊渡される場面もある。
一冊は『The Secret Cargo』(J.S.Fletcher 1913年作品)
邦訳は無い。
乱歩が貸したのだろうか。
しかし何故フレッチャーなのか。
仁木さんが好きだったチャンドラーにすればよかったのに。
もう一冊は題名を読み取れなかった。
* * * *
『猫は知っていた』はもう一度映像化されている。
円谷プロが制作した「心臓の弱い方、お一人でご覧になる方は、この「恐怖劇場アンバランス」はご遠慮下さい…」のナレーションで炎と猫のシルエットで始まる『恐怖劇場アンバランス』の中の一話として。
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(2004-03-29月)
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横溝正史のエッセイ「片隅の楽園」(『ヒッチコック・マガジン』の1959年8月号から12月号に連載)についてのつづき。
* * * *
ヴァン・ダイン全盛時代のときのことを正史はこう書いている。
「当時のわたしは探偵作家としてのヴァン・ダインを世評ほど高く評価することができなかった」
「『ベンスン殺人事件』と『カナリア殺人事件』にいたっては、探偵小説の興味としてでなく、作者のペダントリーに幻惑された部分のほうが多いのではないかと、当時のわたしは邪推したくらいだった」
「ヴァン・ダインを探偵小説の理論家としてではなく、また教養ある一個の学者としてではなく、ほんとうの意味の探偵作家として承服できるには『僧正殺人事件』を読むまでかかった」
現在のヴァン・ダイン評価がまさにこれ。
ヴァン・ダイン全盛時代に横溝正史はこれに気づいていた。
* * * *
エラリィ・クイーンの『オランダ靴の謎』についてはこのように。
「一読してわたしはこれをヴァン・ダインの亜流だと思った。亜流という呼びかたが礼を失しているとしても、ヴァン・ダインの成功に刺激されて書かれたものであることはたしかであろう。だがそういう問題はともかくとして、探偵作家としてのセンスのうえでは、わたしはこのほうがヴァン・ダインよりうえではないかと思わずにはいられなかった」
* * * *
これらの文章からわかることは、横溝正史は探偵作家としての勘が優れていたこと。
一方、戦後の乱歩は探偵作家としての勘を忘れたかあるいは無くしてしまったかのように見える。
だが乱歩には探偵小説への情熱が人一倍あった。
書くことができない、だから替わりに評論や作家の育成に情熱をかたむけたのだろう。
* * * *
横溝正史はカー作品との出会いで戦後に探偵小説界のトップに立つのだがいったいカーの何がそうさせたのか。
探偵作家としての勘に優れていた横溝正史がカーに何を見つけたのか自身が書いていることをなぞるとこういうことになる。
(つづきはまた少し間をあけて)
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(2004-03-28日)
再読するのは何度目だろうか光文社文庫の江戸川乱歩全集第27巻として再刊された『続・幻影城』を読んでいると乱歩の海外ミステリについての評論をまとめて読みたくなった。
そんなとき便利なのが河出文庫から出ていた今は品切れの「江戸川乱歩コレクション」。
このコレクションは乱歩の随筆・評論をいったん解体して対象別にまとめなおしたもの。
二巻めが『クリスティーに脱帽』と題した海外ミステリ論集に、三巻めが『一人芭蕉の問題』と題した日本ミステリ論集になっている。
乱歩が(たぶん)意図して並べた順番を乱歩以外の人間が別の観点で並べているわけだからこれは暴挙だろと言えばそのとおり。
だが海外ミステリ評論だけをあるいは日本ミステリ評論だけを選んで読むとき、あちらこちらの評論集をあたるのは面倒で手間がかかる。
こうして一冊にまとめなおしたものはありがたくて重宝している。
品切れなのが残念。
もしかすると再編集したことにクレームがついたか?
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乱歩の評論は何度読み返してもとてもおもしろい。
「探偵小説が大好きだ」の想いが文章にあふれているからだろう。
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乱歩の有名なカー礼賛「J・D・カー問答」は『続・幻影城』に収められている。
全部カーのお話かと思い込んでいたのだが最初のほうで「ちょっと余談になりますが・・・」と始まってエラリィ・クイーンの『ダブル・ダブル』の話を乱歩は数行分喋っている。
それが「カー問答」の話の腰を折っているように見える。
何故乱歩はわざわざ『ダブル・ダブル』の話題をここに入れたのだろう。

光文社文庫・乱歩全集の装丁はいいねぇ
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上遠野浩平さんの『しずるさんと偏屈な死者たち』(富士見ミステリー文庫 2003.5.15発行)を読み終わった。
ジュブナイル・ミステリである。
第四章「しずるさんと吊られた男」が好み。
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米澤穂信さんの『さよなら妖精』(東京創元社 2004.2.25発行)を読み終わった。
青春小説の佳作。
いや、傑作と言ったほうがいいか。
謎解きミステリ度は『氷菓』と『愚者のエンドロール』の間ぐらいで『氷菓』寄り。
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本日のNHK−BS2『週刊ブックレビュー』は増刊号。
一年をふりかえっての特集である。
本についてただ喋っているだけの番組なのだが出演者のみなさんがみな本について語ることに長けている人たちばかりなので見ていてひたすら楽しいのである。
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(2004-03-27土)
横溝正史がカーに触発されて戦後『本陣殺人事件』や『獄門島』を書き始めたことはよく知られている。
(角川文庫の解説に書かれていることなので、横溝正史作品を読む人は角川文庫から入ることになるだろうから、横溝正史作品を読んだことがある人たちにはたぶんよく知られているはず)
横溝正史が戦時中誰かからカー作品二つを借りて読み戦後自分は作家としてどの道を行くべきか覚ったというお話である。
横溝正史が借りたカー作品は何で誰に借りたのだったかを、井上良夫だったっけ、『プレーグ・コートの殺人』がその一つだったんだよな、とうろ覚えだったので横溝正史の自伝としては最も手に入れやすい『横溝正史 自伝的随筆集』(角川書店 2002.5.25発行 定価2,500+税)を読んでみた。
中のエッセイ「片隅の楽園」(『ヒッチコック・マガジン』の1959年8月号から12月号に連載)にそのあたりのことが詳しく書かれていた。
エッセイの場合、書いている人が勘違いしているときもありそれが必ずしも正しいとはいえないのだがとりあえず正しいものとして進める。
* * * *
借りた相手は翻訳家の井上英三。
戦前にカー『絞首台の謎』、クイーン『変装の家』(「中途の家」のこと)などを訳している。
井上良夫とは別の人だ。
借りたカー作品は『帽子収集狂事件』と『プレーグ・コートの殺人』。
原書で借りている。
* * * *
ここで一つ問いかけ。
「横溝正史作品とカー作品って、似ています?」
「影響を受けた」と横溝正史自身がそう言っているのだけれど、ちょっと見似ているようには見えない。

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(2004-03-26金)
昨年日本映画専門チャンネルで放映していた「24時間まるごとゴジラ」の特集を見て以来ゴジラ映画づいている。
と言ってもDVDを買うわけでもなくビデオをレンタルするわけでもなくたんにテレビのゴジラ映画放映をこまめにチェックして見ているだけなのだが。
本日はテレビ東京で『ゴジラ2000ミレニアム』(1999年作品)を放映していた。
おもしろくなりそうで結局ならなかったのはゴジラ映画に愛着はあるのだろうけれどただ空回りしてしまいそれが脚本に表れてしまった点と、はっとして思わずブラウン管の前で居住まいを正してしまう絵が少ないせいだ。

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昨年12月にNHK教育で放映した『ヴェルビエ音楽祭ライヴ』がNHK−BS2でも放映された。
気づいたのが放映開始20分後であったため録画が最初の曲アルゲリッチとキーシンの連弾の途中からとなったのが悔やまれる。
* * * *
この音楽祭での一番のイベントは世界有数のピアニストたちが一同に会しピアノによるオーケストレーションを行ったこと。
どの演奏もすばらしく、でもそれを表わすすべを持たないので演奏以外のことファッションについて少し。
女性演奏陣はそれぞれ個性あふれる服装を着ているのだが男性陣は中国人ピアニストがチャイナ服で演奏している以外はタキシード姿だった。
一人を除いてタキシードの色は黒か紺。
ただ一人白のタキシードを着ていたのはエフゲニー・キーシン。
これがまた良く似合う。
11歳のときデビューし神童の名をほしいままにしたキーシンは美少年でもあったので女性たちに騒がれた。
三十代になった今は渋さも加わり美男ぶりは相変わらず。
* * * *
放送の中では弦楽合奏との競演もあり、弦の中にギドン・クレーメル(ヴァイオリニスト)の顔があった。
ギドン・クレーメルというとまず「鬼才」のイメージが先に立つのだがここでは楽しそうに演奏していた。
それが印象的。
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(2004-03-25木)
帯に嫌いな作家の推薦文があるとそれだけで買うのをやめてしまうことはよくある。
ポール・アルテ『死が招く』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)を買っていないのはこのため。
* * * *
新刊本の帯に、もっともふさわしくない作家の言葉をつけてしまったのは今月の早川書房。
買うのをやめようかと本気で考えた。
帯だけならまだしもなんと解説までこの人だ。
せっかく新訳が出たのだからと結局は買ったのだが、この帯と解説のために買うことを迷っているカー・ファンは多いはず。
カーの作品の中で「帯が捨てられる割合No.1」賞を謹んで贈呈したい。
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今月のクリスティー文庫の新刊は6冊。
そのうち
『ビッグ4』の解説は若島正さん、
『魔術の殺人』の解説は加納朋子さん、
『ねずみとり』の解説は石田衣良さん、
『シタフォードの秘密』の解説は飛鳥部勝則さん。
全て読んだことがあり旧版で持っているが、解説者の名前だけで買いなおしてしまいそうになる。
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邪道と言えば邪道だがこの宣伝手法はおもしろい。
アジア最大級の写真の祭典である「フォトエキスポ2004」でデジタルカメラメーカが連写機能コマーシャルのための体験イベントを行った。
プロ・マジシャンが披露するトランプやコインを使ったマジックを見ながら、マジックの"たね"を仕込む決定的瞬間を撮影しようというイベントである。
演じるのはプロ・マジシャンの都々さん。
どのようなマジックを演じられたのだろうか?
イベントを報じているのはこちら。
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(2004-03-24水)
大森望さんと豊崎由美さんの『文学賞メッタ斬り!』(PARCO 出版 2004.3.18発行 定価¥1,600)が楽しい。
今「ROUND6 ミステリ系老舗新人賞はどうなっている?」を読んでいるところ。
ここまでのところでは「ROUND4 選考委員と選評を斬る!」がいちばん。
芥川賞や三島賞の宮本輝さんの選評をおもしろがっているお二人の対談をライヴで聞いてみたい。
2004年4月1日(木)19:00〜21:00青山ブックセンター本店で刊行記念トークショウとサイン会が行われるのだが、行くことができなくて残念。
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たしかに、お二人が最も筆をついやしておもしろがっている宮本輝さんの選評を読むと、現代小説へのその無理解ぶりに呆れるというか驚いてしまう。
だが、昭和20年代から30年代に恋愛小説を発表していた井上靖さんの後継者である宮本輝さんは遅く生まれすぎた作家である。
古風な物語だから宮本さんの作品は読まれているのだ。
へんに現代小説に理解を示してしまうと宮本さんの作品では無くなってしまう。
時代錯誤の人であっていいのである。
むしろそのような人を選考委員に選んでしまう存在しているのかしていないのかよくわからない文壇のほうがおかしい。
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007映画話のつづき。
1作目の『ドクター・ノオ』(Dr. No 1962年作品)や2作めの『ロシアより愛をこめて』(From Russia with Love 1963年作品)は今と違ってイアン・フレミング原作にかなり忠実に作っている。
原作を離れ始めたのは『ダイヤモンドは永遠に』(Diamonds Are Forever 1971年作品)あたりからか。
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(2004-03-23火)
ムービープラスで「007」映画の特集をしていた。
一日の間に続けて5作品ほど見た。
ジェームズ・ボンドJames Bondを演じるのはショーン・コネリーSean Connery、ロジャー・ムーアRoger Moore、ティモシー・ダルトンTimothy Dalton。
ピアース・ブロスナンPierce Brosnanのボンド映画は特集の中に入っていなかった。
イアン・フレミング原作のボンドはクールかつ冷酷。
一番近いのはショーン・コネリー。
ショーン・コネリーの若いときの声を聞くと、テレビの洋画劇場などでコネリーの声を吹き替えている若山弦蔵さんの声がとてもよく似ているのがわかる。
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ショーン・コネリーは『ダイヤモンドは永遠に』(Diamonds Are Forever 1971年作品)をさかいに007映画から遠ざかるがジェームズ・ボンドのイメージを拭い去るのに苦労している。
『未来惑星 ザルドス』(Zardoz 1974年作品)のようなカルトSF映画にも出てイメージ・チェンジを図るがあまり成功していない。
『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(Never Say Never Again 1983年作品)で再びボンドを演じたことによりようやく吹っ切れた感がある。
ショーン・コネリーが今のショーン・コネリーらしさを出すのは『薔薇の名前』(The Name of the Rose 1986年作品)あたりから。
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2004.03.23(火)
| <本日の一冊>
●小川一水「第六大陸 1」
早川書房 ハヤカワ文庫JA 2003.6.30発行 定価¥680+税
●小川一水「第六大陸 2」
早川書房 ハヤカワ文庫JA 2003.8.31発行 定価¥680+税
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月に基地を作ろうとする人たちを描いた近未来SF。
ひと言で言えばそういうお話。
登場する人物たちはみなプロフェッショナル。
問題を一つ一つ解決してゆき、くじけず望みを失わず前に進んでいく。
ひとつ間違えると「プロジェクトX」になってしまう話だがそうなっていないのは作者の小川一水さんに物語る力があるから。
何故月に基地を作るのかと問われて、それが可能だからだと答える技術者たちにエンジニアであればきっと共感するはず。
希望に満ちたストーリーがエンジニアだけでなく読む者全ての魂を揺さぶる。
* * * *
西暦2025年。
サハラ、南極、ヒマラヤ―極限環境下での建設事業で、類例のない実績を誇る御鳥羽総合建設は、新たな計画を受注した。
依頼主は巨大レジャー企業会長・桃園寺閃之助、工期は10年、予算1500億、そして建設地は月。
機動建設部の青峰は、桃園寺の孫娘・妙を伴い、月面の中国基地へ現場調査に赴く。
だが彼が目にしたのは、想像を絶する苛酷な環境だった。
(1巻裏表紙あらすじ)
* * * *
『SFが読みたい 2004年度版』国内篇第2位となった二冊。
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(2004-03-22月)
3月27日から映画『シェイド』(Shade 2003年作品、米)が公開される。
舞台はラスベガス。
若手ギャンブラー達が綿密な計画と鮮やかなテクニックでラスベガスの伝説と言われるギャンブラーに対決するというお話。
監督のダミアン・ニーマンDamian Niemanはアマチュアのマジシャンであり、この映画にはマジシャンの殿堂「マジック・キャッスル」が協力している。
映画の中で写るカード・テクニックは実際のギャンブラーたちが使ったテクニックであり、一流のカード・マジシャンがCGなしでそれを演じているのでマジック・ファンは必見。
公式サイトはこちら。
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『ジャーロ』(光文社)2004年春号(No.15)の巻頭インタビューはロバート・バーナードRobert Barnard。
邦訳が途絶えているのに何故?
ロバート・バーナードは皮肉なユーモアで味付けされたいかにもイギリスといったミステリを書く
明かされる真相が意外性に満ちているある意味クリスティやブランドの正当な後継者であるバーナードの邦訳作品は少ない。
もっと訳してくれないものか。
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(2004-03-21日)
本日NHK−BS2の週刊ブック・レビューに書評ゲストとして上橋菜穂子さんが出演されていた。
上橋菜穂子さんは作家で「守り人」のファンタジー・シリーズを書いている。
川村学園女子大学の助教授でもある。
お薦め本として、
ウォルター・ディーン マイヤーズ『バッドボーイ』(小峰書店)
松田素二『呪医の末裔−東アフリカ・オデニョー族の二十世紀』(講談社)
コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック(上・下)』(ハヤカワ文庫SF)
を挙げられていた。
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2004.03.21(日)
| <日々雑感>
「余波はここにも」
マジック仲間に聞いた話。
* * * *
ボランティア活動の一環として幼稚園でマジック・ショーをしたアマチュア・マジシャンがいた。
ショーはクライマックス。
彼は得意のマジックで締めくくった。
何も無いとこらから鳩を2羽出したのだ。
いつもなら子供たちが歓声を上げて終わるところだがその日は違った。
この日は園児の父兄もいっしょに観ていた。
鳩を見て父兄の一人が思わず叫んだ言葉が鶏肉業界に大打撃を与えている鳥がかかる病気の名前。
それを聞いた園児たちがパニックをおこしその場は収拾がつかなくなった。
決してその鳩が病気にかかっていたわけではないのだが。
ボランティアでショーを行ったアマチュア・マジシャンは役所に出頭を求められ厳重注意を受けたらしい。
* * * *
聞けば、日本伝書鳩協会は、300キロ以遠のハトレースと飛翔訓練を自粛することを決め、全国の飼育者に通知したとのこと。
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2004.03.20(土)
| <日々雑感>
「リズムに合う本の題名は」
日本語のリズムは四拍子。
名前で騙されてしまいそうだが「三々七拍子」も四拍子である。
タン タン タン (休)
タン タン タン (休)
タン タン タン タン タン タン タン (休)
と、休符があるのだ。
俳句(五七五)も和歌(五七五七七)も四拍子である。
* * * *
長い間、恩田陸さんの理瀬シリーズ長篇二作めを『麦の果実に沈む海』だと思い込んでいた。
理由はこちらのほうが日本語のリズムに乗りやすいからだ。
む ぎ の (休)、
か じ つ に 、
し ず む う み (休) (二符休符)
* * * *
理瀬シリーズ長篇二作めの本当の題名は『麦の海に沈む果実』
む ぎ の (休)、
う み に (休)、
し ず む (休)、
か じ つ (休)
四拍子にすると一小節ごとに休符が入りリズムが悪い。
三拍子で読むと、
む ぎ の、
う み に、
し ず む、
か じ つ、
であり、三連符読みとなるのでこれも日本語のリズムに合わない。
* * * *
長い題名をつけるときは四拍子。
次週か次々週に読む予定の理瀬シリーズ長篇三作めの『黄昏の百合の骨』を前にしてそのようなことを。
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(2004-03-19金)
オスカー像が誰に渡るかについての関心は薄いがエンタティメント・ショーとして楽しいのでアカデミー受賞式を見るのは好きだ。
3月1日に開かれた『第76回 アカデミー賞授賞式』の総集編が3月8日NHK−BS2で放映された。
録画しておいたのを昨日見た。
今回はショーとしての構成が今ひとつだ。
名誉賞受賞の監督ブレーク・エドワーズ(代表作:ティファニーで朝食を、ピンク・パンサー・シリーズなど、奥さんはジュリー・アンドリュース)登場でのギャグがすべっているのが痛い。
ごくふつうに登場すればよかったのに。
* * * *
歴代のアカデミー賞授賞式をDVD化すれば売れるのではないか、とインターネットを検索してみれば過去に一度だけビデオ化されていた。
『アカデミー賞 グレイテスト モメント』(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 1992-3-21発売 現在絶版)
1971年から1990年までのアカデミー賞受賞式の名場面を収録。
5枚組みぐらいのDVD−BOXにしてくれれば購入者がそれなりにいるのではなかろうか。
* * * *
ビデオが絶版だったのでと買った本がこれ。
中公新書の文庫化である。
映画好きなら楽しめるエピソード満載。
2004年2月発売。
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2004.03.18(木)
| <日々雑感>
「MYSCON5 その4」(個別企画 その2)
海外ミステリ企画「短篇/短篇集」のつづき。
* * * * *
スタッフのみなさんのお薦め短篇・短篇集紹介が終わった後、スタッフの方から「こんどは参加された方々のお薦め短篇を紹介して下さい」との言葉があり、まず手を挙げられた方が実物を取り出しての紹介は、『暗号ミステリ傑作選』(創元推理文庫)。
それを機に、
「創元推理文庫のテーマ別アンソロジーは、『毒薬』、『暗号』、『魔術』の3つがあったね」
「『暗号』の中のセイヤーズの他の短篇集に収録されていない『龍頭の秘密の学究的解明』がよかったね」
「『魔術』はおもしろくなかったね」
「創元推理文庫では『ディナーで殺人を』もいいなあ」
「チェスタトン編『探偵小説の世紀』は一昔前の話ばかりなので正直読むのがつらかった」
などの創元推理文庫アンソロジー話が続いた。
* * * * *
「短篇集と言えばアシモフの『黒後家蜘蛛の会』を外してはいけないでしょう」
「『黒後家蜘蛛の会』のすごいところは第1作めに『改心の笑い』を持ってきているところだね」
「そうそう、あれからシリーズを始めるとは思い切ったことをしたものだね」
「アシモフはSFミステリを集めた『アシモフのミステリ世界』(ハヤカワSF文庫)もいいね」
と、アシモフ話でも話が盛り上がる。
* * * * *
「最近では晶文社から出ている短篇集だね」
「カーシュ、イーリイ、スタージョン、ワイルド、マクロイ、どれもいいですね」
「スタージョンは合わなかったな。でも河出書房版のスタージョン作品集はとてもおもしろかった」
「スタージョンは好き嫌いが分かれますね。スタージョンが好きな人にとっても合わない作品があるし」
と晶文社ミステリについても花が咲いた。
* * * * *
せっかく短篇ミステリ好きが集まったのだしミステリ初心者に薦める短篇・アンソロジー集を選びましょうと、企画の最後はその20選選びとなった。
スタッフの方がまとめられていたのでいずれMYSCONサイトで発表されるはず。
「あまり好きじゃない人から「なんかお薦めのミステリ短篇集ない?」と言われたので『カリブ諸島の手がかり』を貸した。案の定その人からはどこがおもしろいのこの本と突っ返された。この本は初心者向きではありません。いや、わかっていて薦めたのだけれど」
「クリスチアナ・ブランド『招かれざるたちのビュッフェ』はいい短篇集だけどね」
「そうなのだけれど、ブランドって底意地の悪い短篇を書くから初心者向けじゃないよね」
「パトリシア・ハイスミスはどうかな」
「かたつむり、かたつむり・・・」
「ブランドより意地悪いしミステリ初心者が読むと悪い夢みるよ」
「クイーンは『冒険』より『新冒険』かな。ほら、最初の話『●●●●』は・・・」
「その題名はネタバレ。『神の燈火』のことでしょ」
「あ、これを言ってはいけない言ってはいけないと思いながら言ったのでかえってそれを言ってしまった」
「今のことは聞かなかったことにしましょう。『クイーンの新冒険』読んでいない人は忘れてください」
「クロフツはどう?」
「『殺人者はへまをする』とか」
「だめ」
「シャーロック・ホームズのライヴァルたちはどう?」
「どっちの」
「そっか、ハヤカワ・ミステリ文庫のアンソロジーにもあったね。言ったのは創元推理文庫の短篇集のほう」
「マイケル・イネスなんかどうかな」
「セイヤーズの第二短篇集はあまりおもしろくなかったね」
「ラッフルズはどうなったんだ」
と、あれこれ話が盛り上がる中20選が選ばれたのだった。
(その他の出来事については、明日以降にアップ、後1〜2回でMYSCON5の感想は終わる予定) |
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2004.03.17(水)
MYSCON5の感想は少しお休み。
<本日の一冊>
●アレックス・アトキンスン「チャーリー退場」
(Alex Atkinson 「Exit Charlie」、1955年作品)
堀田善衛訳 東京創元社 クライム・クラブ17 1959.5.25発行
以前読んでおもしろかったので、来月、2004年4月に、創元推理文庫から新訳で出るからと過去の記事から引っ張ってきての一足お先の紹介。
全ての謎解きミステリファン向けの作品ではないのだが、渋めの英国ミステリを好きな人であればきっと気に入るだろう作品。
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まずは解説や事典からの引用でアレックス・アトキンスンの紹介。
アレックス・アトキンスンは英国人。
最初巡業劇団に参加し俳優として暮らした後、作家生活に入った。
ユーモア・スケッチやパロディで著名な作家だったらしい。
長篇ミステリはこの『チャーリー退場』のみ。
短篇に『最終章―メリマン謎を解く』(早川書房 ミステリマガジン2001年4月号掲載)があり、ロバート・エイディはカーのパロディとしては最高作としている(『世界ミステリ作家事典』(国書刊行会)による)
これは、パロディとはそういう性格を元々含んでいるのだけれど、カー・ファンだけが読んでおけばいい作品。
* * * * *
解説で植草甚一さんが「クロフツの作品を好まれる読者に一読をおすすめしたい」と書いているように捜査型の謎解きミステリの秀作である。
捜査型のミステリとは、あらかじめ手がかりが示されている形の謎解きミステリでは無く、探偵が捜査することで手がかりが明らかになり読者も同時にそれに気づく形のミステリのこと。
ただ、植草さんはクロフツと言っているがそれよりもヘンリー・ウェイドの書く謎解きミステリ『警察官よ汝を守れ』の手法に近い。
物語の雰囲気は違うけれど。
この作品を一言で説明すると物語の舞台はナイオ・マーシュ風、シリル・ヘアー風のユーモアで味付けした、ヘンリー・ウェイド風の展開をするお話。
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楽屋で「マクベス」を引用すると不吉なことが起きる。
英国演劇界にある迷信どおり「マクベス」が引用されたその日、メントン・オン・ライ劇場で上演さされたスリラー劇でおかしな事が続出した。
なんとか劇の幕は下ろすところまではこぎつけたもののカーテン・コールでは主演のチャールズが一人舞台に出てこなかった。
そして楽屋でチャールズが殺されているのが見つかる。
* * * * * *
この頃の劇場の様子はこんな風だったのだろう。
アレックス・アトキンズは十六歳のとき最初の戯曲を書いて以来演劇に関係した仕事についていたのでこの作品では劇場や俳優たち舞台裏とそれらが生き生きと描写されている。
一つめの魅力はここ。
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二つめの魅力は謎とそれが解明されていく過程。
探偵役をつとめるのはスコットランド・ヤードのファーニス主任警部とアップルビー巡査部長。
鋭くも人情味のあるファーニス主任警部とアップルビー巡査部長が丹念に捜査を進めていくうちに劇場関係者の演出家・俳優・舞台監督・受付係りたちの性格や秘密が一つ一つ浮き彫りになっていく過程が静かな展開ながらスリリング。
未読の人の興をそぐといけないので詳しくは書かないけれど事件が起きた場面と真相が明らかになる場面が対を成していてその趣向もすばらしい。
初めて書くミステリで謎解きミステリの真髄を掴んでいるとは、さすが英国人。
* * * * * *
随所でユーモラスな場面に遭遇することができ、それがこの作品の三つめの魅力。
例えば、アップルビー巡査部長が演劇好きでアマチュアながら俳優をしたこともあって、演劇界に疎いファーニス主任警部に演劇用語を教えながら捜査を進める過程などが。
げらげら笑うのでなくクスリと笑うユーモアは英国小説ならではのもの
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派手さはない。
クライム・クラブ発刊当時の日本では受けがよくなかったかもしれない。
けれど、国書刊行会のヘンリー・ウェイドやシリル・ヘアーが好評の今の日本で復刊されたなら本作品もかなり好評を持って迎えられるのではなかろうか、と感じていた作品。
こうして新訳が出るのはうれしいことだ。
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(2004-03-16火)
ハヤカワ・ポケット・ミステリの新刊イアン・ランキン『貧者の晩餐会』を買った。
リーバスもの短篇7つを含む全21篇収録の短篇集。
半分弱は雑誌で読んでいるが、こうして一冊にまとまるのはありがたい。
ランキンは、初期長篇10作品ほどが未訳のままなのだからそちらも早く出してほしい。
レジナルド・ヒル、ピーター・ラヴゼイと並んで早川書房が推している英国作家にしては未訳長篇が多いのである。
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2004.03.16(火)
| <日々雑感>
「MYSCON5 その3」(個別企画 その1)
22時すぎから始まった個別企画。
以下の企画が行われた。
●海外ミステリ企画「短篇/短篇集」
●読書会「島田荘司『ネジ式ザゼツキー』」
●お薦めライトノベル・ミステリ10作品
●企画に参加しないで大広間で歓談
それぞれの企画は23時半まで行われた。
海外ミステリ企画に参加。
* * * *
海外ミステリの短篇・短篇集・アンソロジーについて語ろうという企画。
15人ほどの人が集まった。
まずはスタッフの方々からお薦め短篇集が紹介された。
○エドワード・D・ホック『怪盗ニック登場』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
○ローレンス・ブロック『殺し屋』(二見文庫)
○クレイグ・ライス『マローン殺し』(創元推理文庫)
○スタンリイ・エリン『九時から五時までの男』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
○トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
* * * *
ミステリ好きの集まりでは、今までの経験だけから言うのだが、謎解きミステリか異色作家の方向に話が流れることが多く、紹介される短篇集はたぶんそちらのジャンルだけだろうと想像していた。
ハードボイルドのジャンルに分類されるローレンス・ブロックの作品が入っていたのがうれしい。
「ハードボイルドが苦手の人も楽しめます」と始まった推薦者の方の熱のこもった紹介にニコニコしてしまった。
また、「ローレンス・ブロックはハヤカワ・ミステリ文庫から出ていた短篇集もいいね」の声とその賛同の声もあがって、おお、企画に参加されている方々のローレンス・ブロック既読率が高い、とさらにうれしくなった。
もちろん他の紹介短篇集もすべておもしろいのだが贔屓の作家の作品をみなさんが盛んに話していらっしゃるのは見ているだけで楽しいのである。
* * * *
『アデスタを吹く冷たい風』の中の「玉を懐いて罪あり」は親切が仇になりの訳注が冒頭についているので読むときはそれ(173頁)を見ないようにして読み始めるか、または『密室殺人傑作選』(ハヤカワ・ミステリ文庫)版(訳題は異なり「北イタリア物語」)で読んだほうがいいとのこと。
『密室殺人傑作選』版のほうは作品の最後に訳注がついているとのこと。
どちらも読んでいるのだが気づいていないのは・・・。
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(2004-03-15月)
3月30日からNHK−BS2で『名探偵モンク』が始まる。
毎週火曜日の放映で22時から22時45分まで。
初回の3月30日は特別版で21時40分から23時の放映となる。
ビデオで販売されているとはいえ、テレビ放映されるのはうれしいことだ。
録画を忘れないようにしないと。
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2004.03.15(月)
| <日々雑感>
「MYSCON5 その2」(古本オークション その2)
出品者の方、まわりの方からその本にまつわることが聞けるので競りに加わる加わらないに関わらずオークションは楽しい。
古本オークションのつづき。
出品された本のいくつかについて感想を交えながら。
* * * *
●『小酒井不木集』(平凡社 現代大衆文学全集7)
●『木々高太郎集』(東方社 新編現代日本文学全集45)
『小酒井不木集』は千頁を超す一冊。
長篇「疑問の黒枠」と短篇三十あまりが収録されているとのこと。
「これとちくま文庫版で小酒井不木のほとんどがわかる」の言葉で競りが始まった。
『木々高太郎集』は長篇2本が収録されていて朝日新聞社版全集未収録とのこと。
●あかね書房版少年少女世界推理文学全集いくつか
懐かしい全集。
ウールリッチ『恐怖の黒いカーテン』は小学校の図書館で借りて読んだ覚えがある。
その頃は気を止めていなかったのだが装丁や挿絵がお洒落な全集だ。
今見ても。
『エジプト十字架の秘密』を探している人がいたので競りに参加しようとしたのだが値があがりそうな気配だったのでやめた。
●狩久『不必要な犯罪』(幻影城ノベルス)
●竹本健治『匣の中の失楽』(幻影城ノベルス)
幻影城ノベルスの装丁を見て懐かしくなり、競りに参加しようかと一瞬思ってしまった。
『本の雑誌』2004年4月号に日下三蔵さんが狩久の傑作集をいつか出したいとそのような主旨のことを書かれたいたのでそれを気長に待つことにする。
『不必要な犯罪』が収録されることはないだろうけれど。
『匣の中の失楽』は、講談社文庫版および現在の双葉文庫版ではかなり変更があるらしい。
雑誌『幻影城』連載時に読んだきりなのでいつか文庫版で読み返してみようか。
幻影城ノベルス版は雑誌『幻影城』連載時と同じ?
●カミ『名探偵オルメス』(芸術社推理選書3)
初めて現物を見た。
遠目だが。
『ルーフォック・オルメスの冒険』(出帆社)がおもしろかったので読んでみたいと思っていた作品。
インターネット上の話題にのぼる作品なので競る人が多いだろうな思いつつも参加すれば案の定でたちまち手の届かない金額まで上がってしまった。
●戸板康二『グリーン車の子供』(トクマノベルス)
講談社文庫版とは表題作と一二作を除いて収録作が異なる。
佐野洋さんが推理日記で書いていた件はトクマノベルス版ではどうなっているのだろうか?
半年ほど前図書館で借りて読んだばかりなのだがもう忘れている。
創元推理文庫で雅楽全集が出るらしいからそれまでがまんと手を握りしめひたすら耐えている戸板康二ファンの想いをよそに競りは始まり意外と低い値段に落ち着いて終わった。
参加すればよかったか?
●『紅鱒館の惨劇』(双葉社)
●『殺人設計図』(双葉社)
鮎川哲也さんのアンソロジーをセットで。
二冊そろうのは珍しいと競りはヒートアップ。
上がる、上がる、値段は上がる。
その日一番の高値がついた最も白熱した競りだった。
●久米元一『古城の秘宝』(偕成社)
石上三登志さんが『男たちのための寓話』(すばる書房盛光社 1975年)と『はじめて話すけど・・・ 小森収インタビュー集』(フリースタイル 2002年)の中で久米元一『古城の怪宝』がおもしろいジュブナイルだと話されたいたのでそれ以来探していた。
『古城の秘宝』が『古城の怪宝』と同じものなのかはわからない。
出品者の方によると『古城の秘宝』は翻案ものらしい。
『古城の怪宝』とは別物でもいいと競りに参加したものの値段が・・・。
●クレイトン・ロースン『首のない女』(東京創元社 世界推理小説全集)
似非マジシャンとしてはとても愛着のある作家クレイトン・ロースン。
だが、ミステリ好きの立場から見るとロースン作品は短篇はそうでもないが長篇は熱烈な不可能犯罪ファンだけが読めばいいものでそうでない人には薦められない作品。
とはいえ、読んではいるが唯一持っていない邦訳本である。
似非マジシャンの立場で競りに参加した。
函なし、月報なしなのでその場にいる人たちにとってはそう欲しい一冊でも無いだろうというはかない想いは結局はかないものでしかなく瞬く間に古書店で見かける値段を超えてしまった。
■飛鳥高『死にぞこない』(光風社)
唯一落札した一冊。
実はこの本が欲しかったのではなく、この本を出品された方は本減らしのためにとすべての出品本に2〜3冊のおまけをつけセット出品されていてそのおまけ狙い。
おまけは島内透さんの『白いめまい』『白昼の曲がり角』の二冊。
初期の島内作品だ。
ハードボイルドの佳作である。
図書館で借りて読んだのだが手元に置き再読したいと願っていた作品。
競りには石井さんと日下さんが入られ、「これはダメかもしれない」とあきらめ半分で競った。
お二人ともたぶんこちらを可哀想に思ってくれたのだろう早い段階で降りられ、手ごろ、というより「この価格でいただいていいのでしょうか」の値段で落札した。
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2004.03.14(日)
| <日々雑感>
「MYSCON5 その1」(古本オークション その1)
MYSCONに初めて参加した。
タイムスケジュールは以下。
3月13日(土)17時30分開始
○高田祟史さんインタビュー
○全体企画
○個別企画
○古本オークション(同時に別場所で別企画)
○深夜企画
3月14日(日)朝7時解散
思い出すまま参加しての感想を順不同で幾日かに分けて書いていくことにする。
あくまで感想であってオフレポでは無い。
* * * *
まずは3月13日24時ごろから始まった古本オークションについて。
全体の3分の1、20数人ぐらいが参加。
別の場所で別企画が同時進行していたのだがそちらには参加できなかった。
出品された方は13〜4人、1人5冊と出品数が決められていた。
前もってオークション本の内容が発表されているので競に参加する本を決めて参加した。
競り落とした本は一冊。
正確に言うとそうではないのだが。
それは後で書くことにして、競の様子で記憶に残っている部分をいくつか。
* * * *
●都筑道夫『猫の下に釘をうて』(東都ミステリー 初版)
オークションに参加している人のほとんどが読んでいるだろう作品。
競になるのだろうかと見ていると、日下三蔵さんが「東都ミステリー版はかくかくしかじかで」とコメントされそれが効いたのだろう数人で競が行われた。
「かくかくしかじか」が何であったかは忘れた。
聞いたときは「ああ、そうだったんだ」と感じたのだが。
日下さんが「この作品は合本や全集として収録されたものではなくて一冊として読みたいね」とコメントされ一同うなずく。
●どの本での競だったか忘れたけれど
彩古さんと日下三蔵さん御二人だけでの競となった場面があった。
その競の様子がなんとなくユーモラス。
最終的にどなたが競り落としたのかは忘れた。
「いいものを見させてもらいました。ここでオークションが終わってもかまわないね」と一同囁きあう。
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(2004-03-08月)
島田荘司さんの『ネジ式ザゼツキー』(講談社ノベルス)を真ん中あたりまで読んだところ。
右開き本なのにいきなり横書きで始まりこれが読みにくい。
途中で「このために横書きにしたの?」の部分が出てくるのだけれどそれが理由とはっきり書いてあるわけでは無いので当たっているかは分からない。
* * * *
最初は御手洗の研究室での会話。
次が作中作。
ここまでは少々とっつきにくい。
作中作から場面が変わり御手洗の研究室に話しが戻ってきたところからおもしろくなる。
ここからロジック・ミステリが始まるからである。
といってもエラリィ・クイーン流のロジック・ミステリではない。
悪く言ってしまえば「ノストラダムスの大予言」に歴史上の出来事をこじつけた論理に似たロジック、良く言えば神話に隠された実際の出来事を推理する歴史推理ミステリの展開に似たおもしろさを持つロジックである。
このロジックを賛とするか否とするかは推理の対象となっているもの自体が島田さんの創造物であることをどう評するか、だ。
* * * *
今のところ楽しく読んでいる。
真相に辿りついたときそこで大きな衝撃があると最後まで楽しく読めるのだが、さてどうだろうか。
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(2004-03-07日)
読書会に出るかは当日になってから決めるつもりだが課題図書の島田荘司さんの『ネジ式ザゼツキー』を読見始めた。
ここ十年ほど島田荘司さんの作品は興味の対象から外れているのだけれど。
* * * *
『ネジ式ザゼツキー』の背表紙には「講談社ノベルス初の書き下ろし!」と書いてある。
先日、ミステリ好き仲間との飲み会で話題に上がったのが「島田さんの講談社ノベルス初の書き下ろしって『斜め屋敷の犯罪』じゃなかたっけ?」
たしか『占星術殺人事件』の翌年1982年に講談社ノベルスで書き下ろしの形で出たような記憶がある。
飲み会での結論は、「『斜め屋敷の犯罪』って光文社文庫でも出てるじゃない、だから講談社の担当者さんは「あれはカッパノベルスで出たんだったよなぁ」と思い込んでいるんじゃないかぁ」
ハヤカワ文庫の「読者アンコールフェア」が並んでいたので一冊購入した。
何故この作品が復刊希望上位に来たのだろうか?
映画を超えるおもしろさがあるから?
先日NHK−BS2で放映したばかりなので原作と読み比べてみようか。
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